米Mellanox Technologiesの日本法人、メラノックステクノロジーズジャパンは9月13日 、FDR 56Gbps InfiniBand、10/40Gbps Ethernet用SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)ドライバをVMware ESXi 5.1に対応させ、2012年11月に投入すると発表した。
この新しいドライバを適用することにより、I/Oボトルネックを解消できるという。同社は、サーバやストレージを対象にInfiniBand、Ethernetのエンドトゥエンド接続ソリューションを提供しており、米国、イスラエルに本社がある。
米Mellanox Technologiesのワールドワイド・セールス担当バイスプレジデントのMarc Sultzbaugh氏
SR-IOVは、単一のルート(サーバなど)で複数の仮想マシンが動作する場合に、I/Oデバイスの仮想化をハード側からサポートする。VMware ESXi 5.1に対応したI/O仮想化ソリューションは、I/O仮想化を実行する際にCPUへの負荷を最小限に抑えられるよう、ハードによる最先端のオフロード技術を用いている。より多くのCPUリソースがアプリケーションで利用可能となるという。
同社のSR-IOVドライバは、このほか既にWindows Server 2012にも対応している。
米Mellanox Technologiesのワールドワイド・セールス担当バイスプレジデントのMarc Sultzbaugh氏は「データセンター関連技術の傾向を見ると、この10年でCPUコア数は大きく伸び、メモリなども性能が改善されているが、I/OボトルネックによりEthernetの能力がそれらに追いついていない」と指摘。
今回のドライバと同社のアダプター「ConnectX-3」や 、スイッチシステム「SwitchX」を組み合わせることで、仮想化データセンターや、クラウドコンピューティング環境の下で、大きな課題となっているI/Oボトルネックを解消するとともに、「消費電力を抑え、ケーブリングの簡素化により、データセンターへの投資対効果を高くすることが可能となる」(Sultzbaugh氏)としている。
メラノックステクノロジーズジャパン ジェネラルマネージャの津村英樹氏
同社の接続ソリューションは従来、主にHPC向けに提供されてきたが、今後は、データセンター、クラウドの領域にも浸透させていくことを図っている。Sultzbaugh氏は「従来型アーキテクチャーの場合、同一のラック内でのトラフィックの遅延はそれほど問題にはならなかったが、クラウド環境では、ラックをまたいだ遅延は最小限に抑えなければならない。クラウドの時代では、どうしても新たな接続ソリューションが必要になる」と話す。
メラノックステクノロジーズジャパン ジェネラルマネージャの津村英樹氏は「かつては、サーバの性能が向上しても、アプリケーションが追従できず、サーバの持つ能力の7%程度しか使いきれていない時期があったが、仮想化技術により、それは70~80%くらいまで上昇した。ただ、I/Oボトルネックが足かせとなり、I/O接続関連の複雑性やコストが問題となった。今後は仮想環境のI/O性能も課題となる。そこで、InfiniBandや、高速なEthernetによるI/O統合が求められる」としており、クラウド関連のほか、さらに成長が期待されるビッグデータなどの新しい市場では、特にInfiniBandによる接続に重点を置いていく意向だ。