山元氏の冒頭の発言は、そうした主旨の筆者の質問に答えたものである。さらに同氏は、「クラウドサービスを提供するために必要なソフトウェアの開発も、ソフトウェアファクトリで手掛け始めている。このクラウド向けを合わせると、ソフトウェアファクトリの需要はむしろこれから増えていくだろう」との見通しを示した。IT業界において最も注目されるポイントだけに、今後の動きを興味深く見ておきたい。
「ビッグデータ時代を迎え、改めてデータ保護の重要性を認識する必要がある」 (日本オラクル 山本泰典 執行役員)
日本オラクルが9月24日、データ保護への取り組みに関する記者説明会を開いた。ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 製品戦略統括本部長を務める山本氏の発言は、その会見で、ソフトウェアの観点からデータ保護の重要性を訴えたものである。
日本オラクル 山本泰典 執行役員
この会見で日本オラクルが訴えかけたのは、ビッグデータ時代を迎えた中で、ハードウェアによるソリューションだけでは、データベースを保護するのには不十分だという点だ。同社によると、例えばOracle Databaseはデータベースブロック単位でチェックサムを確認し、データ破損を検出しているが、ディスクへの書き込み処理などデータベースより下位のレイヤーでトラブルが生じれば、対応が難しいという。
こうした際のデータ保護のために、同社ではデータ破損が起きてもその影響を回避する「Oracle Maximum Availability Architecture(Oracle MAA)」を提唱し、データ保護のための技術を数多くの製品に実装しているという。会見ではそのうちの1つとして、Oracle Database 11gで採用した「Oracle Active Data Guard」について説明を行った。
この機能は、本番システムのインメモリにあるデータをバックアップ先のシステムのインメモリに同期/非同期で転送し、メモリからバックアップ用のディスクに書き込むものである。本番システムのディスクからバックアップ側に反映する仕組みでは、データが破損していると、そのまま反映されてしまう恐れがあるためだとしている。また、同機能では本番システムでデータ破損を検知すれば、バックアップサイトから正常なデータを本番サイトに戻す仕組みもあるという。
山本氏によると、ハードウェアによるソリューションだけで不十分なのは、ハードウェアがコモディティ化して品質にばらつきが出てきたこともあるとか。データベースをはじめとしたミドルウェア層でデータ保護に万全を期すという姿勢は、まさにオラクルならではの取り組みといえよう。