IBMの戦略製品「PureSystems」に新シリーズが登場
日本IBMは10月10日、垂直統合システム「IBM PureSystems」にビッグデータ処理向けの新シリーズ「IBM PureData System」を追加。10月26日に出荷することを発表した。
PureSystemsはIBMが4月に世界6カ国で同時に発表したシステム製品。サーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化、管理機能を統合した製品で、これまでインフラシステムの「IBM PureFlex System」と、ミドルウェアを統合したプラットフォームシステムの「IBM PureApplication System」を提供していた。
新シリーズのPureData Systemでは、用途ごとに3種の製品が提供される。
データベース基盤の「IBM PureData System for Transaction」は、膨大なトランザクションの高速処理に最適化された製品。96コア/32Tバイトのスモールモデル、192コア/64Tバイトのミディアムモデル、384コア/128Tバイトのラージモデルと、3つのモデルを用意。アプリケーションを変更することなくアップグレードできるため、拡張性と可用性を担保したとしている。
データウェアハウスの「IBM PureData System for Analytics」は、「Next generation Netezza appliance(次世代のネティーザアプライアンス)」を謳う。日本IBM 理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マンジメント事業部長の塚本眞一氏は、「今までのネティーザのテクノロジを使って、ハードウェアに新しいソフトウェアを適用することで10〜100倍高速になった」と説明している。1/4ラックから10ラックまで拡張可能で、これをディスク容量に換算すると、32Tバイトから1.2ペタバイトまで拡張できることになる。
「IBM PureData System for Operational Analytics」は、ストリームデータ処理やCEP(複合イベント処理)を提供する製品となる。1秒あたり最大1000以上の同時照会が可能で、さらに最大数ペタバイトのスケーラビリティを持つ。
パターンが各種クラウドとオンプレミス環境を行き来するように
日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン(Vivek Mahajan)氏は、垂直統合システムの総称「IBM PureSystems」について、「ソフトウェアとハードウェアを単に統合しただけの製品ではない」と強調する。PureSystemsは、顧客の用途や環境に応じてハードとソフトを事前に組み合わせたシステム製品だ。特徴となるのは、これに加えて製品にIBMのSIノウハウをソフトウェア化して組み込み、事前検証済みの製品として顧客に納品する点にある。IBMがこの垂直統合システムを「エキスパート・インテグレーテッド・システム」、つまり「専門的なノウハウや知識を統合したシステム」と呼称するゆえんだ。
マハジャン氏は「各ベンダーの製品を組み合わせたベスト・オブ・ブリードのシステムがある。しかし、その影の部分も出てきた。一貫性のない設定を最適化するために膨大なコストがかかっているのだ」と、オープンシステムの問題点を指摘。特に「SIと運用コストが高くなっている。お客様はIBMにその(コストを削減してほしいという)期待を持っている。それを解決するのが4月に発表したPureSystemsだ」とした。
4月の記事でも伝えた通り、PureSystemsの最大の特徴は「パターン」だ。用途や業種に特化したシステム情報「パターン」によって、システムの導入と構築にかかる期間を大幅に短縮させるアプローチ。IBMだけでなく、独立系ソフトウェアベンダーもIBMのサイトを通じて各種パターンを配布している。
前出の塚本氏もソフトとハードだけでなく「アプリケーションも含めた形でエキスパートのノウハウを入れて提供する。お客様にとっては導入と運用が簡単になるだけでなく、さらに拡張までも担保された製品となる」とコメントした。
また、塚本氏はプライベートクラウドやオンプレミスに埋め込まれたパターンをパブリッククラウドへデプロイするサービスの提供も示唆している。
Keep up with ZDNet Japan
ZDNet JapanはFacebookページ、Twitter、RSS、Newsletter(メールマガジン)でも情報を配信しています。