IDC Japanは10月16日、ITサービスの準大手中堅ベンダー9社の競合分析結果を発表した。2012年3月期で多くが業績を拡大させたという。
対象としたのは、大手ベンダー11社に次ぐ売上規模を持つ準大手ベンダー5社と売上高100億~200億円の中堅ベンダー4社。準大手ベンダーはOKI、アクセンチュア、大塚商会、新日鉄ソリューションズ、富士ソフト。中堅ベンダーはシーエーシー、セゾン情報システムズ、電通国際情報サービス、三井情報。
2012年3月期で売上高がプラスとなったのは、大手ベンダー11社では約半数だったが、これらの準大手中堅ベンダーは9社中8社。準大手中堅ベンダーは、大手ベンダーと比較して主要顧客のIT投資増減による影響が大きく、主要顧客の投資回復が好業績につながったとみている。
だが、業績を拡大させたベンダーの成長要因をみると、企業の経営統合に伴うシステムの構築や改修など一過性の案件の影響も大きく、中長期的には準大手中堅ベンダーのITサービスビジネスを楽観視できない状況と説明している。
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こうした状況を背景に、安定した成長を目指す準大手中堅ベンダーの多くは“新規顧客の獲得”“ストック型ビジネスの拡大”を成長戦略に含めている。これまでも、準大手中堅ベンダーは主要顧客向けに提供したサービスのヨコ展開、主要顧客向けに構築したシステムの運用や保守受託といった形で、これらの戦略に取り組んできたが、その範囲は狭く、スピードも緩やかなものだったとしている。
だが、市場や競合環境の変化は、同様の戦略であっても、既存顧客向けのビジネスを守りつつ、ストック型サービスを中心とした新しいサービスで広い範囲の新規顧客を獲得していく、という厳しい要求を準大手中堅ベンダーに突き付けているとみている。
IDC Japanは、準大手中堅ベンダーは今後、ストック型ビジネスを中心とした新しいサービス、新規顧客獲得という“攻め”と“守り”の両方に取り組む必要があると提言。これまでの主要顧客から徐々に拡大していくやり方に比べ、さらなるスピードアップやリソースの有効活用が求められると説明する。同社の武井晶子氏(ITサービスマーケットアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「準大手中堅ベンダーは親会社や主要顧客との長期的な関係を生かして、独自性の高いサービスの開発、ニッチなソリューションのクラウド提供を加速させていくことが重要。同時に新規ビジネスで得たノウハウを主要顧客に展開するという、今までとは逆の流れを作る意識も必要となってくる」