高島屋は商品と顧客情報を一元的に管理する情報系システムの基盤としてデータウェアハウス(DWH)「Teradata Active Enterprise Data Warehouse 5650」を採用した。2011年9月から稼働している。日本テラデータが10月17日に発表した。
高島屋は2011年9月からの商品コード体系変更に伴い、基幹系や販売時点情報管理(POS)システムを含む全社の情報システムを一新している。4種類、合計5つのデータベース(DB)で構成されていた顧客や商品の情報を管理する情報系システムも統合して再構築することを決めている。
新しい情報系システムの導入では、既存システムと同様の分析機能を提供しつつ、短期間で稼働することが求められた。そのため、プログラムの新規開発が不要で、必要な分析環境を短期間かつ低コストで実現できる流通業界向け分析モジュール群「Retail Template」を提供するテラデータ製品の採用が決まった。
Retail Templateは、情報活用機能をテンプレート化、集合化し、経営からマーチャンダイジング(MD)、バイヤー、マーケティング、売場などの情報活用ニーズに柔軟に対応できるという。コード体系の変更や組織変更時に発生する過去データの遡及など、一般的なビジネスインテリジェンス(BI)ツールでは対応が難しい小売業特有のニーズにも対応可能と説明。モジュールとして「個人ポータル」「MDテンプレート」「顧客テンプレート」「商品×顧客クロス分析」「関連購買分析」がある。
高島屋の新情報系システムは、Retail Templateの全5モジュールを導入して予定通り稼働を開始。現在、全国18店舗の店長やセールスマネージャー、顧客情報管理(CRM)担当者、売場担当者と、本部の営業企画部やバイヤーを含む約5000人がアクセスする。顧客対応やMD、マーケティングに活用されている。5つのDBを統合したことで、目的に応じて個別のDBにアクセスする必要がなくなり、業務の効率化が実現、システム運用にかかわる手間やコストも削減できたという。
1台のサーバが扱うトランザクションやユーザー数は大きくなったが、Teradata独自の「TASM(Teradata Active System Management)」機能でユーザーやタスク単位で細かく処理の優先順位を設定できる。これで売場からの照会を優先するなどシステムリソースが効率的に活用できているという。
TASMは、さまざまな要求が絡むDWHの複雑なワークロード環境のリソース配分を最適化する機能。ワークロード管理を自動化し、システムリソースを最大限に生かしながら、サービスレベルの目標を達成するという。
新情報系システムは、従来3年だった購買記録の保存期間を10年まで延長し、長期データに基づいた顧客や商品の分析も可能になっている。POSデータとDWHのリアルタイム連携も実装して、顧客単位での来店状況を当日に把握できるようにもなっている。全ユーザーが当日の売上速報もTeradata上で参照できるようにもなっている。