2011年のIP-VPN市場シェア、NTT ComとKDDIが拮抗

田中好伸 (編集部)

2012-10-26 13:55

 IDC Japanは10月25日、国内企業向け国際WANサービス市場予測を発表した。2011年の同市場は前年比2.4%増の416億円、2012年は前年比2.7%増の427億円を見込んでいる。2011~2016年の年平均成長率(CAGR)は2.9%で、2016年の市場規模は479億円と予測している。

 同社は、国内で契約されるWANサービスのうち、国際間で利用されるサービスの市場を“国内グローバルWANサービス”市場と定義。同市場をIP-VPN、広域イーサネット、イーサネット専用線、専用線の4つのカテゴリに分けて分析している。

 カテゴリ別には、最大がIP-VPNで、国内グローバルWANサービス市場の約7割を占めている。IP-VPNは通信事業者間の相互接続が進んでおり、利用できる国と地域が多いことから、ユーザー企業に広く受容されているという。

 国内でIP-VPNと並んで広く利用されている広域イーサネットは、海外では利用が進んでおらず、国内企業向け国際WANサービス市場に占める比率は1割以下と説明。成長率としては、両サービスともに前年比3~5%増で推移していくと予測している。

 カテゴリ別の通信事業者の市場シェアを2011年の実績値でみると、IP-VPNはNTTコミュニケーションズが39.7%でトップ。KDDIが38.4%で2位となっている。広域イーサネットでは、国内広域イーサネット市場でKDDIが65.4%で最大、他社を大きく上回っている。

 IDC Japanの鳥巣悠太氏(コミュニケーションズリサーチアナリスト)は「通信事業者の国際データ通信サービスの競争は、これまで設備インフラ拡大を中心に繰り広げられてきたが、データセンターを核としたクラウドサービスが主流になるにつれ、競争領域はサービスの合理性や柔軟性、通信のユビキタス接続性といった部分にシフトしてきている」と解説した上で以下のように提唱している。

 「国内の通信事業者はこうした競争領域のシフトを早急に認識した上で、アジアを中心としたグローバルWANサービス市場の成長の波に乗っていかなければならない。また、サービスのグローバル拡大のために機能的側面ばかりを重視するのではなく、文化的側面とのバランスを考えながら戦っていくことが重要である」

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