本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
「このたび設置した新組織で、官公庁や企業のサイバー攻撃対策を一手に引き受けたい」(NEC 高橋博徳 事業部長)
NECの高橋博徳 事業部長
NECが11月27日、官公庁や企業のサイバー攻撃対策を支援するための組織「サイバーセキュリティ・ファクトリー」を設置したと発表した。ナショナルセキュリティ・ソリューション事業部長を務める高橋氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新組織の役割における意気込みを示したものである。
同社ではこれまでもサイバー攻撃対策を支援するためのソリューションを提供してきたが、さらなる強化に向けて、社内のセキュリティ関連部門が連携する横断組織としてサイバーセキュリティ・ファクトリーを立ち上げ、サイバー攻撃対策システムの導入から運用支援までを1つのサービスパッケージとして提供できるようにしたという。
新組織は当初、30人体制で発足するが、NEC社内だけでなく、セキュリティ専門ベンダーとして実績のあるサイバーディフェンス研究所、トレンドマイクロ、フォティーンフォティ技術研究所、ラックの4社とも協業。各社のノウハウを導入することで、日々変化するサイバー攻撃に関する情報の収集・分析や、セキュリティ事故・不正アクセスなどのインシデント対応に必要な技術やノウハウを蓄積・共有するとしている。
高橋氏は新組織について「当社においてサイバー攻撃対策ソリューションは、これまで事業部ごとに開発してきたが、ナショナルセキュリティの分野で培った監視・制御プラットフォーム技術とネットワーク技術をベースに、社内関連部門を集結した。さらに当社の力だけでなく、セキュリティ分野で長年活躍されてきた専門会社とも連携を図ることにした。4社の専門会社プラスNECによって、すべてをカバーすることができるようになる」と説明し、続けて冒頭の発言となった。
こうしたNECの取り組みに対し、今回協業することになったセキュリティ専門ベンダー4社も、首脳名で次のようなコメントを寄せている。
「今般、新設されるサイバーセキュリティ・ファクトリーでは、NECのリーダーシップにより、サイバー空間の脅威に対応を続ける各社が集まり、それら脅威に対する最適な解決を促していく」(サイバーディフェンス研究所 小林真悟 代表取締役社長)
「トレンドマイクロは今後もNECとサイバー攻撃対策の分野で協業を深め、国内のお客様が安心して利用できるIT環境の実現に向けて取り組んでいく」(トレンドマイクロ 大三川彰彦 取締役副社長)
「新組織の設置により、サイバー攻撃対策システムの導入から運用支援までをトータルに提供できるようになることは、お客様へさらなる価値をお届けできるようになると実感している」(フォティーンフォティ技術研究所 鵜飼裕司 代表取締役社長)
「今回発表するNECのソリューションが、国家や企業を支援する最良の対策ソリューションになることを期待している」(ラック 齋藤理 常務執行役員セキュリティ事業本部長)