IDC Japanは1月30日、国内通信サービス市場予測を発表した。2012年の同市場の規模は前年比0.7%減の4兆7438億円になる見込みとしている。国内通信サービス市場は、音声サービス、ブロードバンドサービス、法人向けWANサービス、VoIPサービス、IPTVサービスの合計になる。
2012年の音声サービス市場規模は、前年比7.5%減の1兆8464億円。これは市場全体の4割未満となり、顧客の減少が継続していくと見られている。同年の法人向けWANサービス市場でも、レガシー系の専用線から安価なVPNへの移行が続いており、全体的なARPUの下落傾向も影響し、前年比1.7%減の6693億円の見通し。ブロードバンドサービス市場では、FTTHが引き続き市場をけん引することで、2012年の規模は前年比3.9%増の6564億円になる見込みという。
通信事業者による今後のFTTHの段階的な値下げやLTEを筆頭とするモバイル通信の普及が想定されることから、FTTHの成長率は今後徐々に鈍化していくと予想している。法人向けモバイルサービス市場でも規模を推計しており、2012年は前年比9.4%増の5416億円とし、今後も成長が見込まれるとしている。同社の鳥巣悠太氏(コミュニケーションズリサーチアナリスト)が以下のようにコメントしている。
「スマートフォン普及がドライバーとなってモバイル通信のニーズが急速に高まる中、通信事業者はLTEを中心とした高速通信に傾注していく必要がある。その一方で通信キャパシティ補完の観点から、固定インフラでのさらなるオフロード推進が必要であり、モバイルと固定の両輪での戦略が重要になる。加えて、ネットワークオペレーションの効率化や簡素化、ネットワークへの投資対効果を分析する必要が急激に高まっている。またGoogleやAppleのようなプレーヤーを相手にした競争力を高める上でも、通信データ集計や加入者契約情報の管理といった支援システムの改善に力を入れていく必要がある」
2011~2017年の国内法人向けモバイルサービス市場のARPUと売上額予測(出典:IDC Japan)