経営戦略から見たビッグデータの核心

データ資産をとらえる5つの段階的思考

辻 大志(バーチャレクス・コンサルティング) 2013年01月31日 10時00分

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 情報テクノロジーの分野においては、「ビッグデータ」というキーワードがかなり浸透した。しかし、企業経営の現場では言葉だけが躍り、大きな期待と大きな疑念という両極端な反応が見られるのが実情である。本連載では、企業経営の観点からのビッグデータの捉え方と企業経営への生かし方を考察し、経営戦略においてビッグデータが果たす役割の核心に迫る。

 前回 は「ビッグデータ」の説明でよく用いられる3つのVを、企業経営の観点から眺めた。そこで述べた通り、データ容量の問題と共存してきたわれわれは、ビッグデータ時代に向けての新しい思考と行動様式が求められている。その1つは、データそのもののとらえ方である。本稿では、自社の資産として認識すべきデータの対象範囲を示し、企業経営上の意義を確認する。

 ビッグデータという名前から分かる通り、われわれは以前には考えられないほどの大容量のデータを扱えるようになってきた。まもなく、データ容量の制約など意識せずにシステムを利用する日がやって来る。これは、システムを利用するすべての個人や企業に自由と変化をもたらし、新たな道が拓けることを意味するが、この与えられた自由を謳歌し、新たな変化をビジネス価値に換えるためには時代に合った新しい思考と行動様式を考察し、それをわれわれ自身が備えておかなければならない。

 そこでまず、ビッグデータによる変化をビジネス価値に換えるという観点から、データ資産や情報資産の扱い方を考えたい。

データ資産のとらえ方――これまでとこれから

 システム刷新のプロジェクト、データ分析ソリューションの導入プロジェクト、あるいはデータ分析に基づく戦略策定プロジェクトなどを進めていく際、最初の段階でデータ資産の棚卸しが実施されることが多い。様々な施策の検討や実施の前提として、当該企業によるデータの収集、蓄積、保管方法を理解することは重要な要素である。情報戦略の絵姿を見るに等しく、企業経営や事業運営全体にかかわる重要な思索プロセスの1つでもある。

 多くの場合、既存システムの設計書、特にデータ定義書やテーブル定義書などの設計書を中心に確認し、そこで把握されたデータ群を当該企業が有するデータ資産ととらえ、それを基に各施策の検討、実施を進めていく。

 このような考え方は、企業システムがリレーショナルモデルをベースとしたデータベース上に蓄積される構造化データのみを扱っていることが前提となっていた。今後は、より広い範囲のデータを自社のデータ資産としてとらえ、企業全体としての情報戦略を描く必要がある。

 では、具体的には、自社のデータ資産をどのような範囲でとらえるべきであろうか。

断片的なデータの関連付けによる新たな価値

図1
図1

 図1は、今後データ資産としてとらえるべき概念的な範囲を5つの段階で示したものだ。最も狭い範囲を、1.既存の管理データ――としている。これは、リレーショナルデータベースに格納され、管理されているデータの範囲である。1の範囲のデータを把握する際は、そのデータベースや設計書を確認すればいい。

 2.データとして扱っているが、管理していないデータ――とは、例えば蓄積・保管されていないセンサデータやインターフェースデータを指す。これらは、システムの稼働状況を監視するためにログとして一時的に蓄積される場合はあるものの、ビジネス活用などそのほかの目的で管理されることがなかったデータである。

 これらのデータは、これまで断片的なものとして扱われてきたが、今後、ビッグデータとして蓄積され、それぞれが関係付けられることによって新たな価値を生み出すことになるため、自社のデータ資産として認識されなければならない。

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