SCSAは、専用のセルフポータル上で業務部門の利用者が必要情報を入力するだけで、短時間で簡単にプライベートクラウドでのストレージ環境の割り当て、他の利用者の共用設定ができる。これにより、ストレージ管理者は、ストレージの選択や割り当て、使用状況の監視といった作業の負荷を大幅に削減できるという。ミッドレンジの統合ストレージ「IBM Storwize V7000 Unified」とスケールアウト型NASアプライアンス「IBM Scale Out Network Attached Storage」に対応している。
SCSAでは、垂直統合型システム「IBM PureSystems」などによって構築したプライベートクラウド基盤と、そのほかのシステムにつながるストレージ基盤を統合した環境を構築できるため、従来クラウド環境に移行できないシステムも、クラウド技術による利便性をもたらすことができるという。ストレージ環境を自社内に構築し、計算に関わる部分にパブリッククラウドを利用することも可能になり、データの重要性に応じた柔軟な運用により、コストの最適化を図れる。
三瓶雅夫氏
同社の常務執行役員でシステム製品事業を担当する三瓶雅夫氏は同社のスマーター・コンピューティングの基本的な考え方をこう説明している。
「企業のITシステムは、サイロ型システムとなり、複雑な組み合わせになっているのが現状。8000社のユーザーシステムを分析した結果、構成比の差はあれ、すべてのシステムでトランザクションデータベース、アナリティクス、ビジネスアプリケーション、ウェブやコラボレーションという4つのワークロードに分類できた。IBMでは、これをクラウド最適型インフラとして、ワークロードに最適化したシステムとして提案。用意したリソースプールを使用量に応じて提供できるため、サーバやストレージを最小の台数で提供でき、保守運用コストの最小化が可能。ガバナンスとセキュリティの強化も図れる」
三瓶氏は、ハードウェア製品の具体的な重点施策として、中長期ITインフラ戦略策定支援、先進技術への継続投資と移行促進、全国4支社を中核とした戦略エリアへの展開の3点をあげた。中長期ITインフラ戦略策定支援では、Smarter Computingワークショップで無償コンサルティングを提供。2012年に年間300件の実績があったという。
「どこから手をつけていいのか、どんな効果があるのかといったことがわかないというユーザー企業が多い。システムアーキテクトやソリューションアーキテクトといった日本IBMの各分野の専門家により、現行のIT環境のアセスメントや全体最適のあるべき姿、実現のためのロードマップ、システムデザイン、ROI(費用対効果)算出といったことを約1カ月で提供することが可能になっている」(三瓶氏)
先進技術への継続投資と移行促進では、移行総合技術センターにより、他社システムのユーザー企業がIBMのシステムに移行した際の影響を検証する無償サービスを提供する。
「2006年以降、7900件の移行実績がある。他社サーバで動作しているアプリケーションのサンプルコードを使用して、サンプルコンバージョンを行う。移行総合技術センターはグローバルに展開しているもので、それらのリソースも活用することになる」(同)
全国4支社を中核とした戦略エリアへの展開では、東北、中部、関西、西日本の各拠点によるリージョン戦略とともに、中堅中小企業への展開を強化する姿勢を示した。