SAPジャパンは2月20日、新しいビジネスアプリケーションソフトウェア群「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を発表した。一般への提供開始は5月下旬を予定している。
今回のBusiness Suite powered by HANAは、インメモリデータベースソフトウェア「SAP HANA」の上で稼働する。これまでHANAは、ビジネスインテリジェンス(BI)など情報系システムの中核となっていたが、今回のBusiness Suite powered by HANAで、HANAはトランザクション処理が中心となる基幹系システムに進出することになる。
Business Suite powered by HANAについてSAPジャパンは、「トランザクションデータを単一のインメモリ基盤上で、リアルタイムに取得、分析するビジネスアプリケーションを提供するのはSAPだけ」と、その優位性を説明している。
「リアルタイムで業務を遂行するとともに、瞬時に問題を先取りして、トランザクションと分析、予測できるようになる」とも表現。「トランザクションシステムとアナリティクスシステムが分断されているために発生する重複したデータやシステムに伴う複雑さが解消される」と説明、「リアルタイムエンタープライズを再構築」するという言葉で、企業ITを革新させることができると、そのメリットを強調している。
Business Suite powered by HANAは、市場分析や決算、売掛金管理、資材所要量計画(MRP)、消費者と社会のセンチメント分析などさまざまなビジネスシナリオに最適化されていると説明。加えて、現在最も頻繁に利用されているという業務レポートと分析については、ユーザーに最大限に価値をもたらすように最適化されているとしている。「計画から実行、報告、分析までのミッションクリティカルなビジネスプロセスのすべてで、関連する同じライブデータを使って管理できるようになる。ライブデータに基づいて業務を分析し、報告できるオープンな環境を提供できる」
SAPジャパンは、Business Suite powered by HANAを対象にした「Rapid Deployment Solution」を順次提供を開始する予定としている。Rapid Deployment Solutionは、設定済みのソフトウェアや導入サービス、コンテンツ、エンドユーザー教育などを規定の範囲内で提供するサービス。これを活用すれば、ユーザー企業は6カ月以内に運用を開始できるという。
SAPジャパンは今後も、データベース技術とベンダーの自由な選択をサポートすると説明。サポート対象となるすべてのデータベースでも改善を続けるとともに、インメモリへの最適化を含めてデータベースパートナーと協力していくことを表明している。