SAPジャパンは10月22日、インメモリデータベース(DB)ソフトウェア「SAP HANA」の機能を拡張したことを発表した。開発環境「SAP HANA Studio」の機能拡張もあわせて発表した。
HANAの今回の機能拡張では、1Pバイトの圧縮されていない生のデータを1秒未満で処理できるようになっている。100ノード、100Tバイトのデータセットを処理できるという。1兆2000億のレコードに相当する1Pバイトの非圧縮の生データを保持できると説明する。
この規模は、1日平均3億2800万回のトランザクションを処理する大企業の約10年分に相当するという。このビッグデータの性能試験によれば、営業と物流関連のアドホックのクエリに0.43~0.50秒の短時間で応答し、複数の期間を対象とした複雑な年次比較のトレンドデータでは1.2~3.1秒という結果を出している。
今回の機能拡張では、アプリケーションサーバの機能をサービスとして提供し、HANAに組み込まれることも発表されている。ひとつのインメモリ基盤の上でアプリケーションとデータの処理の間のムダを合理化できるという。アプリケーションサーバとDBサーバを統合することで、アプリケーションレイヤを削減すること、データ処理とアプリケーションの開発作業の合理化でリアルタイムアプリケーションを実現することを目的にしている。
HANAのアプリケーションサービスの拡張は、ODATAやATOM、JSON、XML、XMLAなど新しく利用可能になったデータアクセスサービスを経由したサービスとして提供される予定になっている。これで、どんなビジネスクリティカルなアプリケーションや消費者接点のアプリケーションにも使用できるという。
HANAの今回の機能拡張では、HTML5とJavaScriptにも対応するようになっている。機能拡張されたHANA Studioでは、データ処理にはSQLScript、ロジック制御にJavaScript、ユーザーインターフェース(UI)表示にHTML5を同じツールセットを使用して開発できるようになる。
HANA Studioは今後、モデリングとデバッグ作業の際の使いやすさの改善、チームで開発する際のコラボレーション機能のサポートが含められる予定になっている。リポジトリ内のブラウザ、プロジェクトエクスプローラ機能、HANA内でのネイティブなソースコードのリポジトリの追加も計画されている。
今回は、無償のオンライン講座「SAP HANA Academy」の提供も発表されている。HANAを学びたいユーザーを対象に提供される。オンラインでの教育ビデオとライブや録画でのウェビナーが提供されるとともに、普及活動としてオンサイトで開催されるトレーニングセッションに仮想的にアクセスすることもできる。