インメモリDBソフト「SAP HANA」機能拡張--1PBの生データを瞬時に処理

田中好伸 (編集部)

2012-10-22 15:31

 SAPジャパンは10月22日、インメモリデータベース(DB)ソフトウェア「SAP HANA」の機能を拡張したことを発表した。開発環境「SAP HANA Studio」の機能拡張もあわせて発表した。

 HANAの今回の機能拡張では、1Pバイトの圧縮されていない生のデータを1秒未満で処理できるようになっている。100ノード、100Tバイトのデータセットを処理できるという。1兆2000億のレコードに相当する1Pバイトの非圧縮の生データを保持できると説明する。

 この規模は、1日平均3億2800万回のトランザクションを処理する大企業の約10年分に相当するという。このビッグデータの性能試験によれば、営業と物流関連のアドホックのクエリに0.43~0.50秒の短時間で応答し、複数の期間を対象とした複雑な年次比較のトレンドデータでは1.2~3.1秒という結果を出している。

 今回の機能拡張では、アプリケーションサーバの機能をサービスとして提供し、HANAに組み込まれることも発表されている。ひとつのインメモリ基盤の上でアプリケーションとデータの処理の間のムダを合理化できるという。アプリケーションサーバとDBサーバを統合することで、アプリケーションレイヤを削減すること、データ処理とアプリケーションの開発作業の合理化でリアルタイムアプリケーションを実現することを目的にしている。

 HANAのアプリケーションサービスの拡張は、ODATAやATOM、JSON、XML、XMLAなど新しく利用可能になったデータアクセスサービスを経由したサービスとして提供される予定になっている。これで、どんなビジネスクリティカルなアプリケーションや消費者接点のアプリケーションにも使用できるという。

 HANAの今回の機能拡張では、HTML5とJavaScriptにも対応するようになっている。機能拡張されたHANA Studioでは、データ処理にはSQLScript、ロジック制御にJavaScript、ユーザーインターフェース(UI)表示にHTML5を同じツールセットを使用して開発できるようになる。

 HANA Studioは今後、モデリングとデバッグ作業の際の使いやすさの改善、チームで開発する際のコラボレーション機能のサポートが含められる予定になっている。リポジトリ内のブラウザ、プロジェクトエクスプローラ機能、HANA内でのネイティブなソースコードのリポジトリの追加も計画されている。

 今回は、無償のオンライン講座「SAP HANA Academy」の提供も発表されている。HANAを学びたいユーザーを対象に提供される。オンラインでの教育ビデオとライブや録画でのウェビナーが提供されるとともに、普及活動としてオンサイトで開催されるトレーニングセッションに仮想的にアクセスすることもできる。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    ITR調査結果から導くDX浸透・定着化-“9割の国内企業がDX推進中も成果が出ているのはごく一部”

  2. セキュリティ

    セキュアな業務環境を実現する新標準「Chrome Enterprise Premium」活用ガイド

  3. セキュリティ

    攻撃者は侵入ではなく“ログイン”する、エンドポイントとアイデンティティセキュリティを連携すべき理由

  4. モバイル

    目前の「Windows 10」サポート終了、「Windows 11」への移行負担を解消する最適解とは

  5. セキュリティ

    こんなにあった!従来型SIEMが抱える課題──次世代SIEMに必須の“8つの要件”とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]