工場用副資材の卸売業を展開するトラスコ中山がデータベース基盤に「SAP HANA」の導入を決定した。業務分析とシステム設計・導入プロジェクトは、HANAを世界で最初に導入した野村総合研究所が担当する。製品を提供するSAPジャパンが10月9日に発表した。
SAPジャパンによると、日本国内ではHANAが三十社以上に導入されているという。
トラスコ中山では、SAPのERPアプリケーションで商品や在庫を管理するとともに、ウェブ受注システム「WEBTRUSCO」や在庫適正化システムなどとも連携させて運用してきた。しかし、近年はデータが大幅に増加。取扱商品は100万点超、カタログ掲載の商品アイテム数は約18万点、在庫アイテム数は約16万点となっており、ERPアプリケーション内に蓄積されたデータは数千万件に増大しているという。
一方、受注にあたっては、1件が数千円単位の小ロットのため、データ処理のトランザクションがますます膨大になっている。各システムを連携させた業務の遂行が困難となっており、ERPアプリケーション内のデータが必要な際は、従業員がアプリケーションから必要なデータを取り出して独自のエクセルで管理するという状況だったという。
こうした背景の下、トラスコ中山は保有するデータを有効活用し、販売力の強化、取扱商品の拡充、商品在庫の拡充、顧客の利便性向上につなげるため、大量データ処理のためのデータベース基盤としてSAP HANAの導入を決定した。HANAを導入することで、顧客からの問い合わせや受注に短時間で対応し、業務の効率化につなげたい考えだ。また、在庫適正化システムとのデータ連携もバッチ処理からリアルタイム処理に変更できるため、より正確な在庫管理の実現を目指すとしている。
トラスコ中山では、SAP HANAの導入にあたり、4月から従業員へのヒアリングなどを開始、2013年1月までに要件定義を完了する予定。その後、2013年2月から実装を開始、2013年夏頃に稼働を開始させる。新システム稼働後は、カタログ掲載アイテムを22万点、在庫アイテム20万点に引き上げたい考えだ。