アドビ システムズは、デジタルマーケティングを支援するクラウド型の統合サービス「Adobe Marketing Cloud」に、「Adobe Social」を追加、日本国内での提供を1月に開始した。
マーケティング活動にソーシャルメディアを活用する企業を支援する際の考え方を、米Adobe Systems マーケティングクラウド製品 日本市場担当 統括責任者のBrent Watson氏などに聞いた。
Adobe Socialは、ソーシャルメディアを活用したマーケティングを展開する際、その効果を分析、可視化するとともに、運用するための煩雑な操作を一つのプラットフォーム上で管理できるソフトウェアだ。米国では2012年に既に提供を開始している。
米Adobe Systems マーケティングクラウド製品 日本市場担当 統括責任者のBrent Watson氏
Facebook、Twitter、Pinterest、Google+、ブログその他のソーシャルプラットフォームなどから生じる、さまざまなデータを読み込み、ソーシャル活動と、それによるビジネス成果を自動的に結び付ける。ソーシャルメディア内でのさまざまなやり取りが実際の購買行動にどう影響を及ぼしているのかを、顧客の行動過程を通じて直接測定できるという。キャンペーンの効果を計測したり、成功したキャンペーンを分析し、成功の理由をあぶりだしたりすることが可能としている。
また、コンテンツやフォームなどのソーシャルアプリケーションを一般的なプレゼンテーションソフトを使う感覚で作成、展開できる機能も備えているほか、ソーシャルマーケティングを広告として展開する機能もある。
さらに、企業が形成しているコミュニティやソーシャルウェブ内での会話を監視し、自社ブランドに関する話題が広がるように、コミュニティやソーシャルメディアで特に影響力の強い人々、インフルエンサーを特定したり、製品やサービスに対し、エンドユーザーが抱える課題などを検知したりできる。
ソーシャルメディアでの炎上を防いだり、ブランドを保護するためのガバナンス機能も注目される。従来、配信予定のメッセージやコンテンツ内容のチェックといった作業はメールを使うのが中心だった。Adobe Socialでは、ツール内の承認プロセスを用い、しかるべき責任者がチェックする仕組みを構築できるという。また、単一プラットフォームで各種アカウント権限を一元的に束ね、誰が何をどこまで実行できるのかを綿密に管理する。
Adobeでは、Facebook、Twitter、Googleとテクノロジーパートナーとして提携しており、Facebookからは、Preferred Marketing Developer Programに認定され、「Pages」「Ads」「Apps」「Insights」の4つの「バッジ」を付与されている。Twitterとの間ではFirehose契約を結んでおり、公開ツイートデータにフルアクセスできる。
ライセンス体系は「プロフィール」ごとの課金というしくみになっている。例えば、総合電機メーカーが導入するとなると、テレビ、パソコン、音楽プレーヤーなど複数ブランドごとのページをもっている。そこで、Facebookページは1ページ、Twitterアカウントは2アカウント、Google+ページは1ページが1プロフィールとされる。
マーケティングクラウドプロダクトマネジメント本部 シニアプロダクトマネージャー兼エバンジェリストの上原正太郎氏
Watson氏は「ソーシャルメディアをマーケティングに利用している日本企業は、このソリューションにより、Facebookの“いいね!”の獲得数を増やすといったことにとどまらず、これらのマーケティングをビジネスの成長に結びつけ、成功してほしい」と話す。
アドビシステムズ マーケティングクラウドプロダクトマネジメント本部 シニアプロダクトマネージャー兼エバンジェリストの上原正太郎氏は「日本の企業のソーシャルマーケティング活動の成果は“いいね!”やリツイートによる拡散効果などで指標化されていることが多く、その先に行っていない。ソーシャルマーケティングは手間がかかるものと感じられている。誰が、どのような内容を、ソーシャル向けに発信しているか十分把握できていないのではないか」と指摘する。
加えて、ソーシャルマーケティング活動には広報担当、製品担当、コンテンツ作成担当者、配信担当、その結果を分析する担当者など、組織横断型で多くの人員が関与し、非常に煩雑な運用になるなどの課題があるという。同社では、これらのような課題への対策としてAdobe Socialを位置付けている。