NTTデータ イントラマートは3月27日、クラウドサービス「Accel-Mart」を発表した。5月1日から試験運用を始め、6月から本番稼働を予定している。
Accel-Martは、2012年10月に発表したミドルウェア「intra-mart Accel Platform(iAP)」をベースにして実行基盤と開発基盤をクラウド形式で提供する。iAP上で開発されたパッケージ群も提供される。
iAPは、依存性注入(Dependency Injection:DI)やアスペクト志向プログラミング(Aspect Oriented Programming:AOP)などの設計思想が特徴となるJava EEのオープンソースソフトウェアフレームワーク「Seasar2」をベースに開発。Java EEはもちろん、JavaScriptを利用したスクリプト開発モデルも利用できる。Java EEベースのアプリケーションサーバ「Resin」(米Caucho Technology)も標準で同梱される。
Accel-Martは、NTTデータの「BizXaaSプラットフォームサービスFlex」とNTTコミュニケーションズの「BizホスティングCloudn PaaS」の上で稼働する。Accel-Martは、ユーザー企業にとってはファイアウォール(FW)の外側にあるパブリッククラウドだが、FWの内部にあるプライベートクラウドと同様に活用できるという。
これはAccel-Martより上のレイヤのアプリケーションを仮想マシンとしてラッピングし、1つのパッケージを1社で利用できるからだ。つまり、ユーザー企業ごとの実行環境を活用できることになる。
一般的なパブリッククラウドのSaaSの仕組みとなっているマルチテナントではなく、ほかのユーザー企業とリソースを共用することがない。そのため、Accel-Martを活用するユーザー企業は、Accel-Martの実行環境で稼働するアプリケーションをカスタマイズできる。ユーザー企業がFWの中で稼働させているシステムをAccel-Martに移行するといったことも可能だ。
田中秀明氏
Accel-Martでは、処理能力が必要な時に必要なだけリソースが自動で拡張されるオートスケール機能も提供される。そのため「月末に高い負荷がかかる処理をこなすために、リソースが自動で追加される」(NTTデータ イントラマートのクラウド推進本部長の田中秀明氏)。
iAPをベースとするAccel-Martでは、オンプレミスで稼働しているユーザー企業に必要な機能を補完できることもメリットという。サービス指向アーキテクチャ(SOA)を基本にしているからだ。iFrame技術、RESTやSOAPといったWebサービスを活用することで、既存のオンプレミスのシステムに他社のパブリックラウドのサービスを取り込むことができる。
Accel-Martは、簡易画面作成ツール「IM-FormaDesigner」とワークフローモジュール「IM-WorkFlow」を統合したビジネスプロセス管理(BPM)ツール「IM-BIS(Business Integration Suite)」を搭載する(IM-BISはiAPに搭載)。この機能を活用すれば、複数の企業にまたがるサプライチェーンの管理をより効率的に展開できるという。
この仕組みにビジネスアクティビティモニタリング(BAM)の機能を活用することで、一つの業務に絡む、さまざまなビジネスプロセスの実行状況を監視、業務のプロセスを改善することもできる。Accel-MartにはBPMに加えて、ビジネスルール管理システム(BRMS)も搭載される。BRMSで業務アプリケーションで稼働するロジックを容易に変更できる。
Accel-Martはスマートフォンに標準で対応。ソーシャルメディアにも対応したポータル機能も標準で提供される。Accel-Martでは、同基盤で稼働するアプリケーション(つまりSaaS)も提供される。グループウェアとソーシャル機能を一緒に利用できるコラボレーションツールの「intra-mart Accel Collaboration」(NTTデータ イントラマート開発)のほかに、文書管理システムの「intra-mart Accel Documents」(富士ゼロックス開発)やグローバルで利用できるという購買調達システム「intra-mart Accel FAST購買」(仮称、TIS開発)、旅費や経費などを処理するワークフローシステム「intra-mart Accel 皆伝!」(スミセイ情報システム)が予定されている。
NTTデータ イントラマートは、Accel-Martで提供するアプリケーションを拡充するために「Accel-Martコンソーシアム」を立ち上げる予定だ。Accel-Mart上のアプリケーションをより便利に利用できる各種テンプレートを検討、各社のアプリケーション間の連携を前提とした技術情報やマーケティングなどを共有する。これらのことを踏まえると、Accel-MartはPaaSであり、SaaSでもあると表現できる。