富士ソフトは4月10日、グループウェア「Lotus Notes/Domino」(現在は「IBM Notes/Domino」)からPaaS/SaaS「Salesforce」への移行を自動化する「オートマイグレーション for Notes」を開発したことを発表した。6月3日から提供する。価格は6月の出荷時点に明らかにする。
オートマイグレーション for Notesは、設計情報を抽出する「オートマイグレーションEngine」と、Salesforce上へ反映する「オートマイグレーションEditor」で構成。Notes画面の90%以上を自動でSalesforceに反映し、画面を移行するとともに、移行後のSalesforceの画面の作成や修正作業も簡略化できるという。
オートマイグレーションEngineは、富士ソフトが蓄積したNotes技術を活用して開発。Notesの画面情報を出力し、画面情報を自動生成する。オートマイグレーションEditorの開発には、テラスカイのSalesforce画面設計ツール「SkyVisualEditor」を採用した。両社の共同開発でSkyVisualEditorにNotes設計情報取り込み機能を追加した。
富士ソフトは「これまで取り組みが難しかったSaleforceへの自動移行が可能になり、短期間、低コストでの移行を実現。3~5割の移行コストの削減ととともに、移行後も保守性の維持が可能になる」とメリットを強調する。
今回の共同開発を機に、富士ソフトとテラスカイは、SkyVisualEditorでパートナー契約を締結し、今後、SkyVisualEditorの販売拡大に共同で取り組むという。富士ソフトは、2016年度までに75社への導入を図り、10億円の事業規模を見込んでいる。
テラスカイ代表取締役社長の佐藤秀哉氏は「当社の売上高の9割がSalesforce関連ビジネス。SkyVisualEditorは(Salesforceのユーザーインターフェース開発ツールである)“Visualforce”で開発するのと同等の画面をマウス操作のドラッグ&ドロップで作成できるのが特徴。損害保険ジャパンが35万ユーザーの規模で導入。日本郵政が15万ユーザー規模で導入するなど、Salesforceの大手ユーザーで続々と採用されている。2012年8月には米国に進出して海外展開も開始している」と優位性を説明している。
「オートマイグレーション for Notesは、Salesforce上に移行した後も、ユーザーはNotesと変わらない運用ができるのが特徴。エンドユーザーコンピューティング(End User Computing:EUC)もクラウドで行う時代が訪れており、ガバナンスを利かせた形でエンドユーザーがそのまま運用できる」(佐藤氏)
富士ソフト常務執行役員の野澤仁太郎氏は「2012年からNotesからのマイグレーションを検討するユーザーが増加している。その一方で、移行コストが高い、慣れ親しんだ画面を使い続けたい、画面やデータベースが乱立しているために移行が手間である、NotesとSalesforceの両方に精通したエンジニアが少ないといった課題があり、移行に踏み切れないという声が増えていた」と今回の製品開発の背景を解説する。
「今回の製品で、画面を90%以上自動移行できること、さらに当社が持つ50人のSalesforce関連エンジニアにより、移行を支援でき、マイグレーションに伴う課題を解決するとともに、移行費用を削減できる。(Salesforceの社内マイクロブログツール)“Chatter”をはじめとして、Notesにはない、Salesforceならではの機能も利用できる。(PaaSの)“Force.com”を利用して新たな機能も追加できるのも特徴である。顧客の不満を解消できるソリューションとして提供したい。当社にとっても、Saleforceにおける核となるソリューションのひとつに位置付け、クラウド事業をさらに促進しく考えだ」(野澤氏)
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