クライアント仮想化、投資回収期間が短縮--投資の3倍以上の効果に

田中好伸 (編集部)

2013-04-19 17:49

 IDC Japanの調べによると、クライアント仮想化を投資対効果(ROI)で見ると、全社導入と部分導入と試験導入をあわせたクライアント仮想化製品の平均ROIは359.0%、投資の回収期間は11.6カ月になるという。

 つまり、クライアント仮想化製品を使用することで、投資に対して約3倍以上の効果が得られ、1年弱で投資コストを回収できることを意味する。前回の調査ではROIが352.2%、回収期間が13.3カ月。ROIの値が向上し、回収期間が短縮されたことになる。

 「全社導入+部分導入+試験導入」の初期投資額、年次投資額、ベネフィットはそれぞれ1人あたり23万7773円、4万3790円、70万5412円。エンドユーザーのクライアント仮想化製品の1日あたりの平均使用時間は約3時間(1日8時間勤務を想定)となった。クライアント仮想化製品を使用している従業員の割合は25.7%だった。

 クライアント仮想化製品の導入でエンドユーザー、ITの管理者とスタッフ、企業全体でそれぞれ36.9%、36.5%、36.3%の効果の改善率が見られたという。例えばエンドユーザーでは、平均して36.9%のROIが得られたことを意味している。

 調査では、クライアント仮想化製品を「全社導入」「全社導入+部分導入」「全社導入+部分導入+試験導入」の3つのグループでROIを算出すると、それぞれ743.1%、437.7%、359.0%。投資回収期間で見るとそれぞれ7.7カ月、9.8カ月、11.6カ月となった。

 クライアント仮想化製品をROIの観点から考えると、全社導入が最も大きく、投資回収期間も短く、このグループのROIは突出している。試験導入や部分導入を経て全社導入するよりも、ROIを向上させることができると分析している。全社導入の方がクライアント環境の管理効率化やエンドユーザーの使用環境向上などで、より高い効果が得られることを意味している。

 IDC Japanの渋谷寛氏(PC、携帯端末&クライアントソリューションシニアマーケットアナリスト)は「ITの有用性を計測する定量的指標としてROIに注目すべき」と提言する。

 その理由として「クライアント仮想化を含むIT投資は今後、ますます企業経営に密接に連携していく。目先のコストと見るのではなく、リターンを期待できる投資ととらえることが望まれているからである」と説明。このことを踏まえて、渋谷氏は以下のように提唱している。

 「ITベンダーは、エンドユーザー環境に対する投資対効果を測定した上でクライアント仮想化を提案すべき。その分析結果を経営者と共有することで、クライアント仮想化の役割と重要度の理解が進む」

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]