アイ・ティ・アール(ITR)の調べによると、国内の統合基幹業務システム(ERP)パッケージ市場は2011年度が前年度比5.4%増の796億円と堅調な伸びになったという。2012年度は、前年度比7.4%増の855億円になると見込んでいる。
2012年度の同市場は、大企業向けでグローバル化に伴う基幹システムの刷新、中堅企業向けでは既存ユーザー企業の刷新が進みつつあることが原動力と分析している。2011~2016年度の年平均成長率(CAGR)は6.7%を予測している。

分野別ERP市場の実績と予測(出典:ITR)
ERP市場全体を会計、人事給与、販売管理、生産管理という4つの業務分野別の構成比を見ると、2010~2012年度はおおよそ会計が4割、人事給与が3割、販売管理2割、生産管理1割で推移、変動は見られないと説明。各分野のCAGRは会計6.4%、人事給与6.0%、販売管理7.8%、生産管理7.6%となり、販売管理と生産管理がやや高い伸びになると予測している。
同社のプリンシパル・アナリストの浅利浩一氏は「縮小傾向にある国内市場だけに依存しない企業の戦略が、グループやグローバルのシステムの強化に向かうことは必然」と現在の背景を指摘。浅利氏は「これまでパッケージがあまり適用されてこなかった販売管理や生産管理の業務分野も含めた導入が進むことが予想され、これらのCAGRが高いものになる」と予測している。