日本IBMは5月22日、クラウド環境の構築と管理を自動化するためのソフトウェア「IBM SmarterCloud Orchestrator」を発表した。価格は管理対象のプロセッサ1コアあたり8万6835円から。5月24日から販売する。
IBMでは3月に「IBM SmarterCloud」にオープンスタンダードを全面的に採用することを発表しているが、新製品もオープンソースソフトウェア(OSS)の「OpenStack」やOASISの「TOSCA」といったオープンスタンダードを採用した。
現状は多くの人手が介在するクラウドサービスの自動化、すぐに利用できる仮想イメージとパターン、パターンや導入手順のナレッジを共有し自動化を実現するといった特長を持っている。短いサイクルでのクラウド活用、再利用、複数の企業でのクラウドシステムの連携や統合、大規模なクラウドサービスのインフラの構築や管理などの悩みを持ったユーザーに最適な製品として販売していく。
OpenStackは、クラウド基盤(IaaS)を構築、管理するソフトウェア。IaaSを提供するための仮想マシンやストレージ、ネットワークなどを管理する。OpenStack Foundationが推進している。
TOSCA(Topology and Orchestration Specification for Cloud Applications)は、複数のベンダーによるクラウドアプリケーションとサービスの容易な導入を実現するための標準規格。XML標準化団体であるOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)が推進している。2012年1月に技術委員会(Technical Committee:TC)が発足し、この3月にTOSCAの初版が発表された。

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業担当 Vivek Mahajan氏

日本IBM ソフトウェア事業 クラウド&スマーター・インフラストラクチャー事業部長 高瀬正子氏
Tivoliの技術力を活用
IBMではクラウド戦略としてOpenStackやTOSCAといったオープンスタンダードを採用して、ベンダーロックインではないクラウドの実現を標榜している。今回の発表はこのオープンスタンダード戦略とともに、「クラウドを構成する重要な要素の一つである自動化を実現する製品を提供する。一部分ではなく、プロビジョニング、オーケストレーション、監視、分析、DevOpsといったクラウドにまつわるライフサイクル自動化を実装した製品」(専務執行役員 ソフトウェア事業担当 Vivek Mahajan氏)であり、自動化を実現するという。
新製品のSmarterCloud Orchestratorは、これまでTivoli事業部の名称だった事業部が担当する。同事業部は5月付けでワールドワイドで事業部の名称を「Cloud & Smarter Infrastructure事業部」に変更した。
「長らくTivoliというブランド名で親しまれてきたが、クラウド時代となりお客様ニーズがシステム管理という領域だけに留まらなくなったことから、Tivoli製品は引き続き担当していくものの、新ソリューションに合わせて事業部名を刷新することとなった」(ソフトウェア事業 クラウド&スマーター・インフラストラクチャー事業部長 高瀬正子氏)。事業部の名称からは名前がなくなったものの、新製品にもTivoliのシステム管理機能が活用されて開発されている。