本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、富士通の代表取締役社長、山本正已氏と、日本IBMの専務執行役員であるVivek Mahajan氏の発言を紹介する。
「Fujitsu Technology and Service Visionで富士通は生まれ変わる」 (富士通 山本正已 代表取締役社長)
富士通の代表取締役社長、山本正已氏
富士通が5月16日と17日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラムにおいて「富士通フォーラム2013」を開催した。山本氏の冒頭の発言は、同氏が16日午前に行った基調講演の中で、同社が先頃発表した「Fujitsu Technology and Service Vision」の展開に向けての意気込みを語ったものである。
山本氏の基調講演は、顧客とともに今後のビジネスと社会の在り方を考えることをテーマに置いた。スピードへの対応、複雑性に対するマネジメント、新たな価値の創造といった3つのビジネスの課題を取り上げ、それぞれの現状とともに同社の取り組みを紹介。「富士通は豊かな社会の実現に向け、新しい分野への挑戦を続けていく」と力を込めた。
講演内容の詳細については、すでに報道されているので他稿に委ねるとして、ここではFujitsu Technology and Service Visionにおける山本氏の発言に注目したい。
Fujitsu Technology and Service Visionは、全社ビジョンとして掲げる「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ」を基軸に、ビジネスや社会のイノベーション・コンセプト、その実現に向けた技術や商品のコンセプト、および対応する商品群を体系化したものとして、同社が4月10日に発表した。今後はこの体系に基づき、グローバル市場に向けて統合された商品ポートフォリオを提供するとしている。
この体系の内容については、4月26日掲載の本連載「富士通が打ち出した新ビジョンの意図」でも紹介しているので参照いただくとして、筆者は山本氏が同フォーラムの基調講演で、この体系の意味を顧客向けにどう説明するのか、注目していた。
「今後のビジネスや社会へのICTがどのように貢献できるのか、われわれの考えをFujitsu Technology and Service Visionとしてまとめた。この中で、富士通が描く社会の変革のシナリオおよびと当社のテクノロジーとサービスのポートフォリオを体系的にまとめた」
こう説明した山本氏は「これまでは商品をつくってからこうした体系をまとめていたが、これからはFujitsu Technology and Service Visionを基に技術や商品を開発していく」とし、続けて冒頭の発言となった。