女性起業家インデックス--日本は17カ国中12位
「会いたかった人に会えた」と興奮を隠せないのは軒先株式会社の西浦明子氏。今年初めてDWENに参加した起業家だ。ソニーに長年勤めた後、2007年に建物や土地のちょっとしたスペースを貸し借りする事業を立ち上げた。5歳の男の子のお母さんでもある。西浦さんが会いたかった人とは、カーシェアリングZipcarの創業者、Robin Chase氏だ。DWENに参加するまでChase氏が来ることすら知らなかった。会期中に参加していることを知り、声をかけた。「アドバイスがほしいと思っていた。その希望がかないました!」と満足顔だ。
DWENには西浦氏を合わせて日本から11人の女性起業家が参加した。彼女たちはさまざまな面で挑戦者だ。会期中に発表された起業と女性にフォーカスしたインデックス「Gender-GEDI」によると、日本は17カ国中12位。Gender-GEDIはDellが先述の非営利団体GEDIと協力して作成したもので、ビジネス環境、起業エコシステム、社会など女性起業家に与えるインパクトを利用して割り出したもの。女性と起業家という点では初めてのインデックスとなる。トップの米国は100点中76のスコアだったが、日本はそのわずか半分の39だった。
日本から参加した女性起業家と経営者。後列左から軒先の代表取締役、西川明子氏、米Teruko Weinberg社長Weinberg照子氏、永住産業の取締役、宇都翠氏、シルバーバーチ・アソシエーツの代表取締役、Patricia Bader-Johnston氏、Dellのコンシューマ・スモール&ミディアムビジネス 営業統括本部 統括本部長の小林治郎氏、在イスタンブール日本国総領事館、副領事の西崎健之氏、NATU LUCK社長/女性経営者エメラルド倶楽部代表の菅原智美氏、アイエフラッシュ代表取締役の南まゆ子氏、WINGS代表取締役の太田恵子氏、前列左から中国AXIS Creation Internationalの田中延枝氏、左近クリエイション代表取締役の左近美佐子氏、ouiui社長の鵜居由記衣氏、アンブロシア代表取締役の志賀恵子氏
女性管理職の数は米40%超に対して日本は9%
調査を担当したGEDIのAidis氏は日本について、「男女に関係なく起業家精神が低い」と前置きをした後、その後の起業につながる可能性が高いことから重視している「女性管理職」についても9%と低いこと、女性の就労そのものが低いことなどを指摘した。米国では女性管理職は4割を超えているという。こういったことから、法の面での男女平等、教育、投資環境だけではなく、社会や文化的側面が女性と起業に大きな影響を与えている、とまとめる。
ロールモデルとなる女性経営者が増えると相乗効果が生まれ、ひいては日本が元気になる--そう考え、女性経営者ネットワークのエメラルド倶楽部を立ち上げ、女性の起業家支援に当たっている人がいる。株式会社NATULUCK代表取締役の菅原智美氏で、前回のDWENにも参加した常連だ。菅原氏は「日本の女性経営者は現在10%程度。これを30%にしたい」と意欲を語る。そのためには、「起業の段階だけではなく、すでに事業をやっている人がグローバルに成功する事例を増やしたい」と続けた。日本でも少しずつ変化が起きそうだ。