世界で最も強力な諜報機関である米国家安全保障局(NSA)の責任者は米国時間6月12日、米国人の電子メールやウェブサイト訪問履歴について、同機関は密かに収集することができると示唆した。
NSAのKeith Alexander局長は米議会上院の公聴会において、米国愛国者法(Patriot Act)の監視権限に関するBarack Obama政権の密約の下で「電子メールの連絡先」が収集されているかどうかについて、具体的に尋ねられた。
「私は間違いを犯したくない」し、余計なことまで明かしたくない、とAlexander局長は述べ、そのような監視について詳細を開示することは「わが国がある種の防衛力を失う」ことになると付け加えた。電子メールやその他のメタデータの監視については、上院議員が13日に出席する予定になっている「機密会議」で議論するのが適切だと同氏は述べた。
NSAの動きをつぶさに追っている少数の部外者の中でも、同機関とAT&TやVerizon Wirelessなど通信事業者との長年にわたる密接な関係は公然の秘密となっている。そのため、これらの通信事業者もエクサバイト規模にのぼる日々の電子メールやウェブブラウジング記録を提出していることが分かったとしても、あまり驚きではない。The Wall Street Journalは先ごろ、複数の元政府関係者の話として、NSAは「電子メールやウェブサイトの訪問に関するデータなど、インターネット利用についてインターネットサービスプロバイダー各社が持つデータへのアクセスを得ている」と報じた。
だが、12日に行われたNSAのAlexander局長とMike Johanns上院議員(共和党、ネブラスカ州選出)のやり取りは、メリーランド州フォートミードに拠点を置くNSAが公の場でこの問題に対応する上で最も核心に迫ったもののように見える。
ワシントンD.C.に本部を置き、電子監視の問題を中心に扱うCato Instituteの研究員であるJulian Sanchez氏は、「(NSAが)電話の通話記録だけに重点を置いて、インターネットトラフィックを除外するのはおかしな話だろう。IPログや、おそらくは電子メールのヘッダも収集していると私は推測している」と述べた。
12日に上院でこのようなやり取りが行われるきっかけとなったのは、英国紙The Guardianが米国の外国諜報活動監視裁判所(FISC)による極秘命令について明らかにした先日の報道だ。FISCは、NSAがVerizonの顧客による米国内でのすべての通話について日々の記録を取得することを許可している。その後の報道では、AT&TとSprint Nextelも関与していることが伝えられた。
米司法省は、合衆国法典第50編第1861条に収録されている米国愛国者法第215条(通称「ビジネス記録」条項)によって許可されると主張することで、この命令を手に入れた。第215条では、米連邦捜査局(FBI)の捜査官らが「書籍、記録媒体、紙、文書、その他の項目」を含むあらゆる「有体物」を入手することを認めているが、これについて愛国者法の支持者の一部は、すべての米国人の通話記録を対象とする意図は決してなかったと述べている。
NSAのKeith Alexander局長
提供:Getty Images
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。