幕張メッセで6月12~14日に開催された「Interop Tokyo 2013」。基調講演の様子を筆者の視点から紹介する。特に目を引いたのが、いよいよ商用ネットワークでの利用が見えてきたOpenFlowとSDNの動向だ。
まずは「SDN ShowCase スペシャルパネルディスカッション」。フォトレポートでもお伝えした「SDN ShowCase」についてのディスカッションだ。
パネリストはNTTコミュニケーションズの佃昌宣氏と、日本電気(NEC)の企業ネットワーク事業部 シニアエキスパートの宮永直樹氏、ゲストに東京大学 情報基盤センター 准教授の関谷勇司氏を迎え、アイティメディアのITインダストリー事業部 エグゼクティブエディタの三木泉氏がモデレータを務めた。
左から、アイティメディアのITインダストリー事業部 エグゼクティブエディタの三木泉氏(モデレータ)、NTTコミュニケーションズの佃昌宣氏、日本電気 企業ネットワーク事業部 シニアエキスパートの宮永直樹氏、東京大学 情報基盤センター 准教授の関谷勇司氏(ゲスト)
OpenFlowなどの技術標準によって現実のものとなりつつあるSDN(Software Definied Network)については、発展途上のテクノロジではよくあることだが、その定義範囲があいまいになりがちだ。冒頭で三木氏は、宮永氏のスライドを借用して説明した。
OpenFlowプロトコルで制御されるOpenFlowスイッチとOpenFlowコントローラからなるのがOpenFlowネットワーク。OpenFlowコントローラ部分に搭載される、ネットワークの管理や運用自動化などを目的としたネットワークアプリケーションも含まれる。実際の環境では、このOpenFlowネットワークを制御する機能をクラウドオーケストレータなどが担うことになり、そこまで含めてSDNソリューションとして扱われる。
SDNを実現するための中核となる技術、OpenFlow。三木氏は、「OpenFlowそれ自体が可能性を秘めており、面白い存在」と語る。
「OpenFlowにより、これまでハードウェアで提供されていたネットワーク機能をソフトウェアで実現し、コントローラで管理できるようになります。スイッチだけでなくファイアウォールやロードバランサなども、OpenFlowコントローラで管理されるようになります。いままでネットワークの専門家が担っていた部分を、ソフトウェア制御で扱うことができるわけです。そして理想的には、ネットワークを利用する側が自ら設定できるように、という流れができてきました」(三木氏)
SDNによって可能になるさまざまな利用シーンを、実際の機器を使ってデモするのがSDN ShowCaseの目的だ。
「限定的なデモはいままでも行われてきていますが、これだけ広範囲に、いろいろなベンダーを集めて行っているのはInteropだけ、と考えています」(三木氏)
SDN ShowCaseは、2012年のInteropで「OpenFlow ShowCase」として行われていたものを大幅に拡充した内容となっている。デモの数は8種類から30種類へ、参加組織も13社+1団体から25社+1団体と倍増したと佃氏は説明する。