ポストPCの世界にLinuxの居場所はあるのか?

Adrian Kingsley-Hughes (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2013-07-19 07:30

 Linuxの熱烈な愛好家たちは10年以上前から「Linuxデスクトップの年がやってくる!」と息巻いてきたものの、このOSがデスクトップPCやノートPCの世界に大きな影響を与えるまでには至っていない。

 しかも今やPCの時代そのものが勢いを失ってきており、スマートフォンやタブレットといったポストPCデバイスが脚光を浴びつつある。こういった流れのなかで、オープンソースのOSに居場所はあるのだろうか?


 Linuxは今までの長い歴史のなかで、数々のチャンスを棒に振ってきている。「Windows」が波に乗っていた間は、好景気のPC市場に参入する機会はほとんどなかったものの、Microsoftは「Windows Vista」の不振に悩まされたり、「Windows 8」によるタッチ中心のコンピューティングへの移行でユーザーの心を捉え切れなかったりと、OS関係で何度かつまづいている。こういった機会が訪れるたびにLinuxは真のライバルとしての地位にステップアップできたはずであり、Linuxの愛好家の応援の声も結構あったものの、流れを変えるまでには至らなかった。実際のところ、この5年半で同プラットフォームの市場シェアは1%弱から1%強にしか増えていない

 どうひいき目に見ても、その歩みは遅い。もうこのプラットフォームはあきらめて、忘れ去る時が来たのだろうか?

 しかし筆者はまだLinuxのことをあきらめてはいない。

 最初に述べておきたいことであるが、Linuxは膨大な数に上る「Android」機器のカーネルとして採用されているという点で、至るところに存在している。ほとんどのユーザーはLinuxというものを意識していないかもしれないが、数多くの愛好家と企業による努力がなければ、Androidが今日のように普及しなかったはずだ。Linuxが存在しなければ、Androidも存在していなかったかもしれず、膨大な出荷台数でIT業界をけん引していたPCの需要も失速しなかったかもしれない。

 このためLinuxはある意味において、デスクトップOSをめぐる戦いでMicrosoftと直接対決せずに、間接的にPC業界を揺るがせたと言えるだろう。

 しかし、筆者はLinuxがPCのライバルになり得ないと述べているわけでもない。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]