さまざまなフォームファクタのモバイルシステムが急増するとともに、優れたユーザーエクスペリエンス(UX)を実現する重要性も増してきている。
モバイルコンピュータはさまざまなサイズのものがあるため、ユーザーの期待に沿ったシステムを設計するのは簡単ではない。スマートフォンやタブレット、ノートPCにおけるタッチインターフェースの搭載はユーザー受けする選択であるものの、OSのアーキテクトにとっては理にかなったタッチ操作の実装という難問を解決する必要があることを意味している。そして、優れたUXの実現に大きく役立つようなモバイル機器向けユーザーインターフェース(UI)を設計する際には、決して破ってはならない3つのルールが存在している。
提供:James Kendrick/ZDNet
筆者はモバイルUIの設計者ではなく、その真似をした覚えすらない。しかし、長年にわたって数多くのモバイル機器を使ってきた経験から、優れたUXを実現するうえでどういったことが有効で、またどういったことが有効でないのか(こちらの方が重要だ)を理解してきている。そして筆者はモバイル機器を使ってきた経験から、UXを考えた設計のルールとして以下の3つを導き出した。
- ユーザーが立ち止まって操作方法を考えるようであってはいけない。このためUXは自然かつ直感的なものとなっていなければならない。
- UIのあらゆる部分で操作に一貫性がなければならない。
- ルール1を参照。
自然でなければならない
モバイル機器は、手に持って使用したり、テーブルに置いて使用するなど、多様なスタイルで使えるが、どのようなスタイルであっても、その操作は常にユーザーにとって自然に感じられるものでなければならない。それには操作のあらゆる側面を可能な限り直感的にしておくしかない。
モバイル機器の操作において、ユーザーが思考を中断することなく操作できるようなUXが望まれるのは言うまでもない。特殊な操作が必要となる場合でも、ユーザーが思考を中断せずに操作できるのが優れたUXなのである。こういったUXでは、条件反射で多くの操作が可能となるため、特に意識しなくても操作できるようになるわけである。
自然でなければならないというのは、OS側で複数の操作方法を用意しているシステムにとって特に重要なルールとなる。Microsoftは「Windows 8」という野心的なプロジェクトにおいて、さまざまな方法でOSを操作できるようにしており、それなりの成果を上げている。ユーザーは、(デバイスに装備されているのであれば)タッチスクリーンを使用できるし、マルチタッチ対応のトラックパッド、あるいはマウスも使用できる。
つまり、Windows 8システムでは各種の入力手段が互換性のあるかたちで使用できるようになっているという点がおそらく最も重要だ。ただ、これ自体はMicrosoftの素晴らしい成果であると言えるが、Windows 8デバイスを操作する際に何通りもの操作方法があることに圧倒されてしまう場合もある。これが、さまざまな利用シナリオを考慮したOSの設計で発生する代償と言える。それ故に、入力手段が複数用意されているシステムを利用する際、筆者が期待するほどの自然な感覚は得られない。