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旅にかかわる全ステークホルダーに快適な体験を--AirAsia Expediaのタン氏

五味明子

2013-08-01 15:05

 夏休みシーズン真っ盛りの現在、旅先でのんびりと過ごしている方々もきっと多いことだろう。楽しい旅行の前に、航空券や鉄道などの交通機関や宿泊先、オプショナルツアーなどの予約/手配が欠かせない。価格の安さ、サービスのクオリティなど、人によってこだわりのポイントは異なるだろうが、限られた時間を快適に過ごし、大切な思い出として残すためにも、できるだけ満足度の高い選択をしたいものだ。

AirAsia Expedia CEO キャスリーン・タン氏
AirAsia Expedia CEO キャスリーン・タン氏

 調査によると、2011年における日本の旅行市場全体は7兆7450億円で、うちインターネットを利用して旅行に関するさまざまな予約を行うオンライン利用のシェアは、約3割の2兆2140億円に上り、この数字は年々増加中だという。これほど数字が大きくなれば、オンライン予約を扱う事業者間の競争も激しくなるのは当然の成り行きだといえる。

 希望の便やホテルの予約ができればOKという時代はとうの昔に過ぎ去り、いまやどのオンライン旅行サイトも、旅行商品そのものの魅力アップはもちろんのこと、サイトのユーザーインタフェースやレスポンシビリティ向上、ダウンタイムゼロの運用など、ユーザーを逃さないためのさまざまな施策を講じている。

 そうした激化するオンライン旅行市場において、老舗的存在ともいえるのが米ワシントン州ベルビューに本拠を置くExpediaだ。1996年、Microsoftの一部門として設立されたのち、1999年に同社からスピンオフ、2002年には米国のインターネットカンパニーIAC(InterActiveCorp)の傘下に入るも、2005年にはIACから独立し、現在に至っている。グローバルの月間ユニークユーザー数は約9000万人、世界3万都市で20万軒以上のホテルを取り扱う、世界最大級のオンライン旅行サイトに成長している。

 現在、グローバルにおいてもっともオンライン旅行の割合が激増している地域はアジアだと言われており、今後も著しい成長が見込まれている。そのアジアにおける競争力を高めるため、Expediaは2011年、アジア最大のローコストキャリア(LCC)であるAirAsiaと合弁会社「AirAsia Expedia」を設立した。ExpediaとAirAsiaの両方のブランド力を生かし、日本、インド、東南アジアといった市場において商品の幅を拡大し、豊富な選択肢を顧客に提供するのが狙いだ。

 2013年2月からこのAirAsia Expediaの新しい最高経営責任者(CEO)として、アジア各国にExpediaブランドを浸透させるべく運営の手腕を発揮しているのがAirAsia出身のKathleen Tan(キャスリーン・タン)氏だ。AirAsiaをLCCのトップ企業に育て上げた立役者の1人としても知られているという。競争激しいオンライン旅行市場で、いかにExpediaの強みを発揮していこうとしているのか、Tan氏に話を聞いた。

--黄色のワンピースがあざやかですね。

 黄色はExpediaのブランドカラーなんです。なので、できるだけパブリックな場では黄色を中心としたファッションを心掛けています。ブランドイメージを浸透させるのが私の役目なので。

 

--なるほど。Expediaのブランドイメージというと、若者に人気がある、低価格な航空券やホテルが見つけやすいというものを思いつくのですが、AirAsia Expediaでも同じようなイメージを浸透させたいということでしょうか。

 AirAsia Expediaはまだ生まれたばかりの新しい会社です。だからこそ、若者に対しては積極的に訴求していきたいと考えています。お金がなくても旅を楽しみたいという若いトラベラーは世界中にたくさんいます。その中でも特にアジア圏の若者にフォーカスを当て、コストとクオリティの両方を備える商品を提供していく、それがわれわれの重要なミッションです。

--そのミッションのために具体的にどんな施策を取ろうとしているのでしょうか。

 オンライン旅行事業者としてやるべきことはいろいろありますが、まずはソーシャルメディアでのマーケティングに積極的に取り組んでいくつもりです。TwitterやFacebookは世界中の若者が日常的に使っているツールであり、そうしたチャネルにわれわれが注力していると見せることで、若いユーザーから信頼を得ることにつながります。実際、AirAsiaは本社はもちろん、日本やインドなど各国ごとにTwitter、Facebookのアカウントを持っていて、積極的に情報発信しています。ユーザーからの反応も非常に好意的ですね。

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