数回にわたって、ITとマーケティングの接点をテーマにお話をします。マーケティングといえば、1990年代まではテレビや新聞、雑誌などのマス広告が大きな存在感をもっていて予算の大半をマス広告に使うのが一般的だった時代もありました。
今では、ウェブサイトへのバナー広告や検索のリスティング、あるいはソーシャルメディア型の広告など広告だけをとってもさまざまな選択肢があり、さらには、メールなどを使ったダイレクトマーケティングや顧客関係管理(CRM)ベースの Online to Offline(O2O)型のマーケティング、TwitterやLINEを使ったソーシャル型の施策など、企業のマーケティングはますます多様化しています。
そして、この多様化の源泉となるのはインターネットとICT技術の進化そのものです。マーケティングはテクノロジが主導する時代に入り、ITに強力に接近しつつあります。
接近どころか、下手をするとIT部門をしのいでしまう勢いです。2月にガートナーが発表した予測によれば、今から5年後の2017年にはマーケティング部門が使うIT予算が情報システム部門のそれを上回るのだそうです。
世のIT担当者たちの眉間に皺が寄りそうな、挑発的な話ですがマーケティング部門が消費する膨大なマス広告予算の多くがアド(広告)テクノロジなど、いわゆるデジタルマーケティングの分野に振り向けられていくことを考えれば、あながちうがった見方とも言えません。
こうした動きに呼応するかのように大手のITメーカーやベンダーがこぞってマーケティング部門への売り込みを強化しています。MicrosoftやIBMといったITの巨人たちがデジタルマーケティング向けのソリューションに力を入れ、イベントでもメインのスポンサーをはっています。国内のITメーカーもこれに追従しようと、この分野への参入の機会を窺っているのが現状です。