日本IBMは業績低迷後、かつて行ってきた決算発表会見をいつの間にか開かなくなったが、新生・日本IBMの姿をはっきりと見せる意味でも、2013年12月期決算についてはぜひとも会見を開いてもらいたいところだ。
「今回の協業でICTとエネルギーを融合させた次世代のe-モビリティシステムを提案していきたい」」
(富士通 山口裕久 次世代情報系ソリューション本部長)

富士通 次世代情報系ソリューション本部長 山口裕久氏
富士通は10月3日、持ち運び可能なバッテリなどの開発・販売を手掛けるベンチャー企業であるレスクと、電動車両を用いた新しいe-モビリティ社会の実現に向けて協業することで合意したと発表した。この分野の事業を担当する山口氏の冒頭の発言は、両社による協業の狙いを語ったものである。
協業の内容は、レスクが提供する電動バイク向けカセット型二次バッテリ(以下、バッテリ)やロッカー式充電ステーション(以下、充電ロッカー)を、富士通の位置情報活動のクラウドサービス「FUJITSU Intelligent Society Solution SPATIOWL」で管理・分析を行うことで、電動バイクの走行や道路交通などの移動関連の情報のほか、さまざまな場所に分散配備された交換バッテリと充電ロッカーの位置や充電・劣化状態などを把握できるようにしようというものだ。
これにより、電動車両の利用者は常に健全なバッテリを利用できるようになる一方、バッテリ管理者は個々のバッテリの使用実績を把握でき、効率的な資産管理が可能になるという。さらに、利用者ごとの使用実績も把握できることから、多数のバッテリを多数の利用者で共有できるようになり、使用に合わせた適正な運用コストでの利用が可能になるとしている。
両社は、今後さらに需要が増えると予想される電動バイクにおいて懸念されるバッテリ充電や交換の管理をICTで解決することで、再生可能なエネルギー社会の実現に貢献していきたい考えだ。まずは2015年までに対応バッテリを搭載した電動バイクとクラウドサービスを宅配ピザなど配達事業者へ展開し、次世代のe-モビリティ社会の基礎を築き、2020年までに一般の利用者向けに展開していきたいとしている。
今回の両社による提案は、クラウドを利用したe-モビリティとビッグデータの活用を組み合わせることで、従来のモビリティの仕組みから発想の転換を図ったものといえる。ただ、普及するまでには相当程度のボリュームが必要かもしれない。とはいえ、新たな発想のビジネスがチャレンジングなのは当然だ。
発表会見に同席したレスクの鈴木大介社長はそうしたチャレンジに向け、「東京オリンピックのときに海外から訪れた観光客があっと驚くほど、電動バイクを広く普及させたい」と意気込みを語った。両社の協業を発端として、どれだけエコシステムを広げることができるかが勘所となりそうだ。
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