大企業の9割がWindows 8をパスする--米ガートナーアナリスト予測

大河原克行

2013-10-16 17:18

 ガートナー ジャパンは10月16日、「ポストPC時代のエンタープライズモバイル戦略」をテーマに報道関係者を対象にしたセッションを開催。米Gartnerのリサーチ部門バイスプレジデント兼最上級アナリストのKen Dulaney氏が解説した。

 同社は10月15~17日に都内でイベント「Gartner Symposium/ITxpo 2013」を開催している。イベントにあわせて初来日したDulaney氏は、ポストPC時代に突入する中でスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が企業にどのようなインパクトを与えるのか、あるいは競争優位のためのモバイル戦略やモバイル端末の最新動向、エンタープライズモバイル戦略を解説した。

 Dulaney氏は、Intelのリードアナリストも務めているほか、雑誌『Adweek』でIT業界のトップアナリスト20人の1人に選ばれている。Gartner入社前の1989年に初期のタブレット開発に携わった3人の1人として、同分野での特許を多数取得しているという。


米Gartner リサーチ部門バイスプレジデント兼最上級アナリスト Ken Dulaney氏

 Dulaney氏は、「モバイルで使用されるさまざまなデバイスが、エンドポイントのデバイスとなり、働き方やビジネス設計の仕方、マネジメントの仕方、そしてITの仕組みが変わっていくことになる。だが、それに適切に対応していない企業が多いのが現状である」と指摘。「モバイルに完璧性を求めると乗り遅れることになる。まずはいち早く乗り出すことが大切だ」と提言した。

 Dulaney氏は「今後、成功するOSはAndroid、iOS、Windows Phoneの3つが可能性がある」との見解を明らかにし、こう解説した。

 「中国ではAndroidが主流になり、米国や日本ではiOSが中心となる。欧州ではAndroidとWindows Phoneに関心が集まるだろう。MicrosoftがNokiaを買収したことで、Windows Phoneが普及する可能性が広がり、PCにおいて同じインターフェースを持ったWindows 8が広がるにつれて、Windows Phoneの可能性が広がる。こうした3つのOSの広がりを前提にすれば、ソフトウェアベンダーはマルチプラットフォームに対応した開発ツールを活用する必要がある」(Dulaney氏)

 現在、iOSには90万種類のアプリ、Androidには100万種類のアプリがあるが、Windows PCには10万種類、Windows Phoneには15万種類のアプリがあり、こうしたアプリの豊富さも3つのOSが残る理由のひとつとした。

 現在モバイルOSのシェアは、iOSは25%、Androidは60%、Windows Phoneは3%となっている。これが3年後には、iOSのシェアが下がり、Androidは中国市場での普及でシェアを拡大。Windows PhoneはMicrosoftの投資次第で10%に到達すると予測した。

Android 5.0は2014年夏か

 現在開発が進むAndroid 4.4(開発コード「KitKat」)の次版となる「Android 5.0」については「来年夏頃に出てくるだろう。バグがかなり修正されているほか、OSより下のレイヤはGoogleが管理し、上のレイヤはメーカーが管理するという仕組みを採用することになる」と見通した。iOS 7については「プロダクトの管理性が高まっているのが特徴であり、ビジネスとパーソナルを分離するのではなく、ひとつのコンテナの中で管理する仕組みを継続している」と解説した。

 Windows Phone 8についてDulaney氏は「Windows 8は成功しているが、“Windows RT”は失敗に終わり、Windows Phone 8はある程度の成功を収めている」と前置きして、こう続けた。

 「(Windows 8、Windows RT、Windows Phone 8という)これらのOSのすべてがWindows 8のカーネル上で動くようになっている。3つのOSをひとつに統合した形で“Windows 9”に進化するだろう。これとともにスマートフォン、タブレット、PCでも同じアプリが動作するようになるはずだ。多くのユーザーは、Windows 8を飛ばして、Windows 9に行こうとしている。Windows 8は、操作があちこちに飛んで使いにくいのが問題となっている。われわれの予測によると、エンタープライズの90%のユーザーが、Windows 8をパスすることになるだろう」

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