来春からApple小売部門の総責任者になることが決まったAngela Ahrendts(現 Burberry Groupの最高経営責任者=CEO)という女性経営者について、GigaOM主筆のOm Malikが書いた、かなり詳しいコラムが同ブログに掲載されている。
At the intersection of fashion and technology, is retail chief Angela Ahrendts Apple’s next CEO?--GigaOM
今回はこのコラムの話などを少し紹介する。
[Ahrendts Brings Luxury Positioning to Apple: Perry - Bloomberg]
[Apple Hires Burberry CEO as Retail Chief - WSJ]
華々しい経歴の持ち主
周知の通り、Apple小売部門の総責任者の椅子は1年近く空席が続いていた。AllThingsDによると、今年のはじめにはすでに有力な候補者の名前が浮上しており、今回新責任者に決定したAhrendtsの名前も、その中に含まれていたらしい(註1)。
今年53歳になるAhrendtsは、長年ファッション業界で活躍し、華々しい成功を収めてきた人物で、GigaOMやThe Wall Street Journal(WSJ)などには「29歳でDonna Karan Internationalの社長に」「1998年にEVPとして加わったLiz ClairborneではJuicy Coutureなどの新しいブランドを育てた」「2006年からCEOを務めるBurberryでは、在任中に売り上げを3倍強も増やし、その間株価は約4倍になった」などと記されている(註2)。またBurberryの中国市場での成功を同氏の手柄のひとつとして挙げている媒体も多く、簡単に言えば、Burberryブランドの「中興の祖」といえるかもしれない(ただし、Burberryブランドの再生自体は「Rose Marie Bravoという前任者が始めたもの」という記述がBloomberg記事中にある)。
なおWSJ記事中には、Apple Storeの「育ての親」であるRon Johnsonのクビを切ったJ.C. Penneyでも、次のCEOとしてAhrendtsに白羽の矢を立てていた、との記述があってちょっと面白い(註3)。
一方、Apple Storeのここ1年の苦戦ぶりについても各媒体で触れられているが、たとえばGigaOMでは「1店舗あたりの売り上げが、2012年第3四半期の1110万ドルから、2013年第3四半期には1010万ドルまで減少」(ただし店舗総数は367店から401店に増加)、「2012年第3四半期の売り上げは40億8400万ドルで、前年同期の40億7400万ドルからわずかに減少」「同期の利益は6億6700万ドルで、前年の8億6800万ドルから大幅減少」などとしている(註4)。他媒体の報道と見比べると、細かなところで辻褄が合わないと感じられる部分もあるが、いずれにしてもApple Storeの事業が足踏み状態にあることはほぼ間違いないようだ。
なお、Apple小売部門の年間売り上げは昨年210億ドル超、それに対しBurberryのグループ全体の年間売り上げは約32億ドルと、規模の点では1桁違う――Ahrendtsにとってはそれだけ大きなチャレンジ、ということがいえそうだ。ただし、Ahrendtsも2010年夏に「他の企業でお手本になるところがあるとすれば、それは(Gucciでも Chanelでもなく)Appleだ」と語っていたというから、相当の準備と覚悟があってのチャレンジと想像できなくもない(註5)。