日本オラクルは、ハードウェアとソフトウェアを統合した垂直統合型システム「Oracle Exadata」に関する日本市場における取り組みについて説明した。
日本オラクルのテクノロジー製品事業統括本部長で専務執行役員の三澤智光氏
Exadataは、2008年の市場投入以来、1つのマシンですべてのデータベースワークロードを実現することを目的に開発された製品。日本オラクルのテクノロジー製品事業統括本部長で専務執行役員の三澤智光氏は「Exadataは、Ver.1においてはデータウェアハウスとしての活用であったが、Ver.2ではオンライントランザクション処理(OLTP)の専用マシンといった使い方が増え、その後、データウェアハウスとOLTPの複合的なワークロードに対応し、さらに複数のデータウェアハウスや複数のOLTPを統合したデータベースコンソリデーションの提案が増加した。
今後は、Database as a Serviceという形で、これまでのコンソリデーションを、進化させた提案に注力していくことになる」とした。
三澤専務執行役員は、Exadataの実績についても言及。「販売台数、顧客数ともに順調に成長しており、ハイエンドサーバ、ハイエンドストレージ市場においてトップシェアを獲得しているのは確かだろう。業種別には、まんべんなく広がっている。
産業分布に応じて製造、流通での導入が多いが、この分野では比較的小さな規模のものもある。一方、金融、通信、公共分野では、規模の大きいものに集中している」などとしたほか、既存顧客からのリピートオーダーが増加していること、メインフレームのデータベースからの移行が2割程度に達していることにも触れた。
Exadataの変遷を説明した
さらに「メインフレームの技術者は、全世界でみても、日本とインドにしかいない。これは危機的な状況である。メインフレームを活用し続けることはリスクである」などとした。
「Exadataでは、Oracle Database 11gに強制的に移行することになるため、それによって、日本の企業が、Oracle Databaseの新たなバージョンへ移行するきっかけにはなっているが、全体的にみると、まだまだである。日本の企業は、アップグレード、マイグレーションという考え方が遅れている。パッチマネジメントの重要性を、日本のユーザーに問わなくてはならない」とした。
また、Exadataのエコシステムについても触れ「Exadata Ver.1を投入した当初は、オラクルがどこまでハードウェア事業をやるのかといった疑問や、Oracle Databaseを稼働させるためのハイエンド製品が売れなくなり、パートナーのビジネスモデルを破壊するといった理由から警戒されていた。
だが、導入実績が増えるに従い、発売当初は9割だった直販比率が逆転し、現在、7割がパートナー経由の販売となっている。パートナーもオラクルの製品を動かすには、Exadataがいい商材であるということを実感している。Exadataは、コンソリデーション提案によって、アプリケーションの受託ニーズが獲得しやすくなり、これをデータセンターに展開できるというメリットがある。垂直統合型の製品において、パートナーエコシステムが完成した唯一のソリューションだといえる」と位置づけた。
Exadataの具体的な導入事例についても説明した。
データウェアハウスの活用事例としては、ハウス食品におけるリアルタイムビジネスインテリジェントを紹介。すべての社員を対象にしたこの事例では、事業会社を横断した販売動向の横串分析の実現を目指しており「既存システムに比べて30倍以上の性能改善と、多くの社員に対して、分かりやすい画面で、より速く情報を提供できるようになる」とした。
ハウス食品の事例
データベースコンソリデーションの事例としては、歯磨きや洗剤などのメーカーであるライオンが、メインフレームのデータベース移行に加えて、SAP ERPの統合や、情報系で活用していたTaradataの統合により、最大20倍の高速化とデータ量の50%削減、運用保守費用の削減という効果を得た。
東京海上日動システムズでは、社内で活用していた100に上るデータベースを統合し、運用コストの削減と情報収集に関するスピードアップに成功したという。
楽天は、IBMの「Informix」で構築していた楽天市場のデータベースサーバを集約。「膨大なトランザクションを処理するとともに、Oracle Maximum Availability Architectureによる高可用性によって実現したという。スケーラブルにノンストップで運用している。Exadataにおいて、最もミッショクリティカルな仕組みを構築している」と述べた。
ファストデータソリューションの活用事例では、NTTコミュニケーションズが、複数のレイヤの通信状況を複合的にリアムタイム判定し、異常を検知して、未然に予防するという使い方を示した。「M2Mでの活用は今後増加していくことになるだろう。Exadataと、ExaLogicとの連携が増加しており、特にM2Mではこの組み合わせが活用されている」という。
M2Mは今後の注目分野の1つだ