国立情報学研究所(NII)は富士通研究所とともに、人工頭脳プロジェクト『ロボットは東大に入れるか』の数学チームで共同研究を進めている。同プロジェクトでは11月25日、ロボットが受験した東大模試の結果を発表。偏差値60を記録したという。
東ロボくんの東大模試の答案用紙
今回のプロジェクトは、代々木ゼミナールの“代ゼミ模試”に挑戦。数学チームでは、全国センター模試(数IA、数IIB)と東大入試プレ(文系、理系)を受験した。人工頭脳「東ロボくん」による自動での求解の結果、東大模試では、文系で4問中2問、理系は6問中2問完答、文系理系とも受験者中の偏差値約60という結果が出た。
数学の入試問題をコンピュータが解くとはどんなことか。これは、人間にとって理解しやすい自然言語や数式で表現された問題文を、コンピュータが計算プログラムで実行可能な形式に変換し、プログラムで問題を解くことである。
そのために、問題テキストを形式的な意味表現へ翻訳し、コンピュータが処理できる形式に変換後、数式処理や自動プログラムで回答するという手順が必要という。
一方、今回のテストでは、問題テキストの構文解析および文脈解析など言語処理の一部で人による介入があった。今後は意味解析、数理的な規制の最適化技術など、計算技術を深化させ、高度な数理解析が自動化されることを目指す。さらに意味解釈における問題の表現の仕方や求解処理の手順の工夫など高度化のための研究開発を進めるとした。
「東ロボ」はNIIの新井紀子教授を中心に2011年にスタート。2016年までに大学入試センター試験で高得点をマークし、2021年には東京大学入試突破を目標としている。