日本IBMが支社展開を開始して、すでに1年を経過した。
Martin Jetter氏の社長就任後に打ち出された支社展開は、地域への密着強化と地方市場開拓を目的に東北、中部、関西、西日本の4支社体制とし、半期に一度、地域の重要顧客を対象にした「IBM Leaders Forum」を開催。毎回、Jetter氏自らが出席して地元の経営トップと直接対話する場を設けているのも特徴だ。
こうした中、12月2日に広島市のホテルグランヴィア広島で「IBM Leaders Forum 2013 西日本」が開催される。西日本支社主催のLeaders Forumは過去2回、福岡で開催されたが、今回初めて広島で開催することになる。7月に日本IBM西日本支社長に就任した岡崎高氏に、西日本における取り組み、広島でのLeaders Forum開催の狙いなどについて聞いた。
広島で開催する意義
日本IBMが2012年7月に設置した4支社の中で西日本支社は、岡山県以西の中国地方、四国、九州、沖縄の17県を担当する。最も県数が多く、エリアも幅広い。それぞれに市場環境が大きく異なるのも特徴だ。
日本IBM 西日本支社長 岡崎高氏
Leaders Forumは各支社とも3回目の開催を迎えるが、西日本支社ではその広い地域性にも考慮。過去2回は福岡で開催していたが、今回は広島で開催することにした。
「中国地域のお客様を中心に、約150人の経営トップが参加する予定であり、過去2回の参加者とはやや異なる顔ぶれとなっている。だが、過去最高の出席者数が見込まれており、IBMの提案に高い関心が集まっていることが裏付けられる」
今回のLeaders Forum 2013 西日本では、中国経済連合会会長の山下隆氏、マツダ副会長の金井誠太氏などによるパネルディスカッションが予定されている。
岡崎氏は「今回の広島での開催で中国地域と四国地域にもフォーカスしているという姿勢を示すことができるとともに、ビッグデータやアナリティクス、クラウドといったITが経営にどんなインパクトを与えることができるかを示すイベントとなる。技術を経営に生かすための提案が、今回のLeaders Forumの特徴」だとする。
支社の開設以来、地域密着は最優先の取り組みだ。
「支社長である私自身の席は、福岡と広島の双方に置いてある。支社長が率先して、地域の産官学のトップと関係を強化する活動を展開しているのに加えて、Leaders Forumを広島で開催することで中国地域での活動にも弾みをつけることができる」
西日本の特徴
西日本には、いくつかの特徴がある。
ひとつは、スマートシティへの取り組みでの先進性だ。IBMはグローバルでスマートシティの提案に取り組んでいるが、その中でも北九州スマートコミュニティ創造事業は、先進事例のひとつとして位置付けられている。
「このほかにも、瀬戸内エリアは災害が少なく住みやすい街が多く、ソーラーパネルを有効活用した自然エネルギーに対する関心も高い。九州や中四国地域では、スマーターシティのさまざまな角度から取り組んでいける特性を持っている」
2つめには、ビッグデータを活用するニーズが高いという点だ。
その理由として、岡崎氏は地域全体に比較的通販事業者が多いといった特性を指摘する。ビッグデータを活用して、顧客を分析し、そこから新たな提案を行うといった先進事例も出ているという。
3つめには、農業が盛んな地域であり、地産地消の促進、農産物のアジアへの輸出といった動きが出ており、ここにもIBMのグローバルの知見やノウハウを活用できるという点だ。
福岡を中心にして“アジアのハブ”としての役割を視野に入れたビジネス活動も活発であり、観光産業に対する注目も高い。「これらの地域特性をとらえた形で日本IBMが持つグローバルの知見によって顧客やパートナーを支援できる」とする。
日本IBMは、2014年1月からパートナー戦略を大きく転換するが、西日本地域では「パートナーとの連携によって、まだリーチができていないホワイトスペースに対して新たにアプローチしていくことも考えていきたい」とする。