ワークスアプリケーションズは11月29日、都内ホテルで最高情報責任者(CIO)やITリーダーを対象にしたプライベートイベント「COMPANY FORUM 2013」を開催した。
基調講演には、Procter & Gamble(P&G)のCIO、Filippo Passerini氏によるビデオセッションなどが行われた。
CIOの役割はシステム構築にあらず--ワークス牧野社長
基調講演で挨拶にたった、ワークスアプリケーションズの代表取締役 最高経営責任者(CEO)、牧野正幸氏は、なぜ日本企業のシステム投資のROIが低いのかをテーマに、日米のCIOに対する考え方の違いやCIOに求められる役割などを語った。
ワークスアプリケーションズの代表取締役 最高経営責任者、牧野正幸氏
牧野氏によると、欧米企業におけるシステム導入に対する考え方は、20年前から変わっていない。「ポイントは2つある。1つはどのくらいのコスト削減になるかだ。10億円かけてもそれ以上の効果が出ればいいとする。もう1つは、明確な競争優位性が保てるかだ。漠然としたものではなく、ROIを何%向上させるか、利益が何%上がるかを明示する」(同氏)
CIOの成果を測る指標も、この2つに沿ったものになる。つまり、どれだけコストを削減できたか、それによって売り上げがどのくらい向上したのかだ。米国の場合、効果を出しやすい背景として、コスト削減のために解雇を含めた措置を取れるという事情もある。
一方、先端領域では20数年前から日本のほうが優れており、現場における決定権が強かった。「例えば"カイゼン"活動に見られるように工場のリーダークラスが意思決定するなど、すごい経営をしていた。その点においてグローバルで負けるはずがないと思っていた」(同氏)という。
ただ、牧野氏は違和感も持っていた。システム導入においては、その前のシステムよりコストを低く抑えることや、他社がどのくらいコストをかけているかを気にする傾向があった。システムは現場に合うように作り込まれるるため「仮に人を切ったとしてもROIが出るか」どうか分からないものだった。
そうした中、牧野氏は日本企業がパッケージ製品を導入することで、情報投資効率を引き上げていくための手助けをしたいと思い会社を設立したという。それから20数年たち、情報システムの作り方自体はあまり重要ではなくなってきた。「冷蔵庫や空調をオーダーメードする人がいないように、バックオフィスは買ってくるものになった」のだ。
しかし、いまだにCIOは報われていないという。相変わらず「素晴らしい仕事をしても評価されず、問題が起きたときだけ責任を問われることが多い」のだ。その上で、牧野氏は、CIOの役割は、システムづくりではなく、業務とITの融合をはかることだと指摘。同社のパッケージ製品の提供を通して「CIOの補佐になっていきたい」と強調した。