2003年に農林水産省が牛肉に対して適用した制度として一躍注目されるようになった食品トレーサビリティは、その後、牛肉以外の食品についても取り組みが行われており、スマートフォンなどを使って消費者が直接、確認できる仕組みも実用化されてきている。この仕組みをもっと推し進めてみてはどうだろうか。
例えば、メニュー表示にトレーサビリティの情報を入手できるバーコードを添付し、消費者が必要に応じてスマートフォンでそれを確認するといった具合だ。偽装表示を疑うというより、むしろその食材のことをよく知って食べる楽しみが増すような工夫をするのが望ましい。
もちろん、コストがかかる話なので、積極的に取り組む企業や団体には、行政サイドから助成金を出すなどの取り組みが必要になるだろう。一方で、不正な情報操作には厳しい罰則を科す法整備も不可欠だと考える。
ITは何でもガラス張りにできるという本質を持つ。そんなITを活用した食品トレーサビリティの拡充は、疑惑が蔓延する食材の偽装表示問題に打ってつけの対策ではないだろうか。しかも、単なるチェックの手段ではなく、食を一層楽しめる仕組みに発展させていってもらいたいものである。