日本オラクルは12月12日、ビッグデータ解析ソフトの新版「Oracle Endeca Information Discovery 3.1 」を国内で提供開始すると発表した。セルフサービス型の「データディスカバリー機能」を大幅に強化し、データベース(DB)の非構造化テキストや、その他のコンテンツなど、多様なデータを探索、ビッグデータから知見を導き出すことができるという。ビジネスインテリジェンスツール「Oracle Business Intelligence」(Oracle BI)との連携も可能。
同社は、データディスカバリーを分析と検索の機能を融合させて多角的な分析や試行錯誤を繰り返し、データから知見を見い出す技術と定義する。「Oracle Endeca Information Discovery」はDBの構造設計が不要であり、データディスカバリー機能により、業務部門のユーザー自身が構造化、非構造化データを統合させ、従来なら部門別に管理されていた複数ソースのデータをEndecaサーバ内の単一の環境で統合、分析することができる。
専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏
専務執行役員でテクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は「ビッグデータの製品やサービスを考えると、データのソースはさまざまだ。通常のDBをはじめとする構造化データがあり、SNS関連やテキスト、音声など幅広い非構造化データがある。これらをマッシュアップし、変革へのヒントを得ることがOracle Endeca Information Discoveryの役割である」と説明する。
最新版では、直観的なドラッグアンドドロップによるレイアウト作成が可能など、探索ダッシュボードを作成する過程がより容易になった。業務部門のユーザーでも、新しいデータディスカバリーアプリケーションを分単位で作成できるという。同社では「400人の営業要員が、トレーニングなしで活用している事例がある」とアピールする。
データ探索により洞察や知見が得られ、新たなニーズなどが特定できた場合、さらに他のデータの追加可能なため、迅速にデータの試行や、反復ができ、データの背後にある意味や隠れた傾向などを読み取ることが可能とした。
また、非構造化データの分析機能強化により、人々の会話、意見など企業内外のデータソースに点在しているデータから新しい視点や知見を探り出すことが可能になり、ビッグデータを中心とした戦略立案につなげることができるとアピールした。
Oracle Endeca Information Discoveryは、Oracle BI Foundationとの連携が強化されており、「Oracle BI Server」のデータもソースとして、統合が可能だ。 さらにHadoopやウェブコンテンツなどとの連携機能も向上させている。
同社の分析ツールをみると、特定領域の専門向けの複雑な予兆分析は「Oracle Advanced Analytics」が担っている。既知の情報を軸としたKPIの表示などが中心となる一般的な分析やレポーティングは「Oracle BI Foundation Suite」が用いられる。
これらに対し、Oracle Endeca Information Discoveryは、いまだに気づいていないことに焦点を当てる。例えば、製品へのクレーム情報からキーワードと関連語を浮かび上がらせ、クレームの原因を探り当てることもできるという。
同製品は、全世界で600社が導入、小売り、自動車、家電など製造業、サービス、エンターテインメントなど多岐に渡っており、三澤氏は「世界的には、かなりポピュラーであり、ヒット商品だ。これまでのBIソリューションではできなかったことを実現している先進事例がある」としている。
一方、国内事例は製造、通信業など10社程度にとどまるという。三澤氏は「“気づき”の投資価値をなかなかと納得してもらえなかった面や日本語の壁などがのボトルネックがあったが、ほぼ解消された」と説明した。
今後、同社は、「Oracle Endeca Information Discovery」の販売体制を強化し、海外での事例を積極的に日本に紹介するとともに、ビッグデータ分析のデモ環境を設置する。伊藤忠テクノソリューションズ、NTTデータ、NEC、野村総合研究所、日立製作所、富士通など、パートナーとの連携や、共同営業活動に着手する。NTTデータとの間では、Twitterデータの活用で協業するなど国内での市場拡大に意欲を示した。