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今の時代を映す仮想通貨「ビットコイン」

松岡功

2013-12-25 10:44

仮想通貨「ビットコイン」の特性とは

 電子商取引の新たな決済手段として注目を集めている仮想通貨「ビットコイン」の取引価格が、中国人民元とドルに対して大暴落したというニュースが先週後半、世界を駆け巡った。

 ビットコインは、世界各地の民間業者によるネット上の「取引所」に口座を開設することで、手持ちの現実通貨と交換したり、取引所を介して第三者に送金したりできる。ネット上で取引するため、国境を越えて瞬時に送金でき、手数料もかからないことから、各国で急速に普及し始めている。

 電子商取引の決済手段といえば、クレジットカードや電子マネーが思い浮かぶが、ビットコインは各種の通貨をデジタルに扱っているのではなく、それ自体が資産としての価値を持つのが特徴だ。

 各国の金融規制に縛られず、中央銀行による制御も利かない。現実通貨の場合は中央銀行が流通量を調整して価値を維持するが、ビットコインはプログラムで流通量の上限が決まっているだけなので、基本的に購入する人が増えるほど、その価値は高まる仕組みとなっている。

 ただ、政府や中央銀行が介在せず、決済手段としての法的な裏付けがないことから、ビットコインには危うさがつきまとう。価値が高まるにつれて投機の対象となり、保有リスクが大きくなる。取引所の経営が破綻すれば、ビットコインを現実通貨に戻せなくなるリスクもある。さらに取引の匿名性が高いことから、不正な取引や資金洗浄(マネーロンダリング)などに使われる可能性も少なくない。

ビットコインの急速な普及の背景

 そんな「便利」と「危険」が同居するビットコインだが、中国人民元との取引では、2013年初めに1ビットコイン(BTC)=約100元(約1700円)だった価格が、11月末には7300元(約12万4000円)と約70倍に跳ね上がった。それが、12月18日には約70%安の2245元(約3万8000円)にまで一時下落した。

 この大暴落の大きな要因は、12月に入って中国当局がビットコインを決済手段として認めない姿勢を示したためだ。最近では、中国がビットコインにおける世界の取引のほぼ半分を占めるとも言われている。中国では人民元と外貨を自由に交換できず、国外への投資も規制されている。このため、投機目的の購入が過熱していた。中国当局はそうした動きに危機感を募らせ、今回の措置を取ったようだ。

 今回の中国当局の措置によって、ビットコインの存在が今後どうなっていくのか注目されるところだが、業界筋では、中国で表向き決済ができなくても取引自体は地下に潜ったり海外にシフトしたりするだけだとの見方もある。

 ビットコインの急速な普及については、もう1つ書きとどめておきたい背景がある。2008年の世界的な金融危機をきっかけに、日米欧が金融緩和に動いた影響である。日米欧は大量の資金を市場に供給して景気を下支えしており、通貨の価値が薄れかねないリスクを抱えている。2009年に誕生したビットコインは、そうした金融情勢が育んだものともいえる。

 ビットコインは、高度な暗号技術を使って複製が防止されており、その希少性が資産としての価値を生んでいる。つまりは、その高度な技術とグローバルな金融情勢、そして中国の台頭が、ビットコインの急速な普及の背景にある。その意味では、今の時代を映す象徴的な存在といえそうだ。

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