トップインタビュー

IoTの拡大は日本の製造業に有利--インテル 江田社長

大川淳 山田竜司 (編集部)

2014-04-03 15:22

(編集部注:次回記事が公開されたときにメールで通知を受け取る方はこちらからご登録ください。)

 インテルでは2013年の10月に社長が交代、10年率いてきた吉田和正氏の後を受け、江田麻季子氏が社長に就任した。およそ半年が経過したいま、“江田インテル”が打ち出す戦略の方向性や“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”の時代への見解、施策、今後の見通しなどを聞いた。

創造的な仕事にPCは不可欠

--事業戦略の柱はどのようなものか。


江田麻季子氏

 いま、当社の事業を進めるうえで、4つの重点があります。「モビリティ」「ユーザーエクスペリエンス(UX)」「データセンター」そして、「技術(ムーアの法則)」です。PCの成長について、否定的な見解もありますが、モビリティの領域では、タブレットは活性化しています。ここで存在感を示すことがわれわれには重要です。現在、省電力化を進めてバッテリ駆動時間を延長し、操作性を向上させています。UXに関して、これまでユーザーインターフェースを含めて学んできた中で言えるのは、人とPCの接点は主として、タッチスクリーンの形式をはじめ人の五感に近いものが望ましいということです。他にも、音声認識や顔認証、ジェスチャーなど、幅広い方法があります。データセンターは何と言っても、処理性能の拡大が要です。

--PCはスマートデバイスに浸食されているのでは。

 従来のPCもなくなることは決してありません。市場も大きく縮小しているわけではなく、生産性を上げたり、何かを創造しようという作業にはPCは不可欠だと考えています。PCとしてもタブレットとしても使える、“2in1”形式の製品は、全体の8割が高く評価しています。タブレットも、やはりキーボードがあった方が良いとの声も強く、PCとタブレットの区別は徐々に薄れてきています。この両者の市場は、それぞれに分かれているように言われてきましたが、実際には1つの市場であると見ています。そこで、ハイエンドからエントリまで、バラエティに富んだ製品をそろえていくことが重要になります。

 

ビジネスにあわせた基盤が必要

--IoTについての戦略は。

 IoTでは、この先、2020年に、インターネットに接続される機器は500億台になるとの予想もあります。想像するだけでも、実に多様な方向性が考えられます。末端の機器につながる部分は、消費電力がAtomの10分の1である「Intel Quark」や、開発ボードの「Intel Galileo」を用意しています。

 IoTの流れは、開発者たちのイマジネーションを強く刺激するものだといえます。複数の膨大な端末からデータを集め、インターネット機能のあるものないものを管理する機構、ゲートウェイ、大量データの解析のためのソフトウェア、省電力のXeonプロセッサを用いたデータセンターなどIoTの時代にはこの環境を構成するさまざまな要素が必要になります。

 Intelはモノがそれぞれにつながる世界を支える技術をもっています。アーキテクチャが整備されているからこそ、うまくつながるところに価値があり、Intelはここで優位性を保っています。業界ごとやアプリケーションごとに異なるITの目的に沿ったものではなく、ビジネスの目的に即し、新たなサービスや事業を創造できるような基盤が最も望まれているのではないでしょうか。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]