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インテルでは2013年の10月に社長が交代、10年率いてきた吉田和正氏の後を受け、江田麻季子氏が社長に就任した。およそ半年が経過したいま、“江田インテル”が打ち出す戦略の方向性や“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”の時代への見解、施策、今後の見通しなどを聞いた。
創造的な仕事にPCは不可欠
--事業戦略の柱はどのようなものか。
江田麻季子氏
いま、当社の事業を進めるうえで、4つの重点があります。「モビリティ」「ユーザーエクスペリエンス(UX)」「データセンター」そして、「技術(ムーアの法則)」です。PCの成長について、否定的な見解もありますが、モビリティの領域では、タブレットは活性化しています。ここで存在感を示すことがわれわれには重要です。現在、省電力化を進めてバッテリ駆動時間を延長し、操作性を向上させています。UXに関して、これまでユーザーインターフェースを含めて学んできた中で言えるのは、人とPCの接点は主として、タッチスクリーンの形式をはじめ人の五感に近いものが望ましいということです。他にも、音声認識や顔認証、ジェスチャーなど、幅広い方法があります。データセンターは何と言っても、処理性能の拡大が要です。
--PCはスマートデバイスに浸食されているのでは。
従来のPCもなくなることは決してありません。市場も大きく縮小しているわけではなく、生産性を上げたり、何かを創造しようという作業にはPCは不可欠だと考えています。PCとしてもタブレットとしても使える、“2in1”形式の製品は、全体の8割が高く評価しています。タブレットも、やはりキーボードがあった方が良いとの声も強く、PCとタブレットの区別は徐々に薄れてきています。この両者の市場は、それぞれに分かれているように言われてきましたが、実際には1つの市場であると見ています。そこで、ハイエンドからエントリまで、バラエティに富んだ製品をそろえていくことが重要になります。
ビジネスにあわせた基盤が必要
--IoTについての戦略は。
IoTでは、この先、2020年に、インターネットに接続される機器は500億台になるとの予想もあります。想像するだけでも、実に多様な方向性が考えられます。末端の機器につながる部分は、消費電力がAtomの10分の1である「Intel Quark」や、開発ボードの「Intel Galileo」を用意しています。
IoTの流れは、開発者たちのイマジネーションを強く刺激するものだといえます。複数の膨大な端末からデータを集め、インターネット機能のあるものないものを管理する機構、ゲートウェイ、大量データの解析のためのソフトウェア、省電力のXeonプロセッサを用いたデータセンターなどIoTの時代にはこの環境を構成するさまざまな要素が必要になります。
Intelはモノがそれぞれにつながる世界を支える技術をもっています。アーキテクチャが整備されているからこそ、うまくつながるところに価値があり、Intelはここで優位性を保っています。業界ごとやアプリケーションごとに異なるITの目的に沿ったものではなく、ビジネスの目的に即し、新たなサービスや事業を創造できるような基盤が最も望まれているのではないでしょうか。