NECは4月22日、顔認証によるPCログオンやログオン中の利用者の常時確認を可能とするソフトウェア「NeoFace Monitor」の販売を開始した。同社第二官公ソリューション事業部の事業部長である鈴木浩氏は「NECは社会ソリューション事業に注力しており、ICTによる社会インフラの高度化のための要素技術のひとつとしてバイオメトリクスがある」とした。
バイオメトリクスは人間の生体的な特徴や外観を本人認証に活用するもの。同社は40年以上の研究開発の歴史と世界40カ国以上、500システム以上の導入実績があるという。
NEC 第二官公ソリューション事業部 事業部長 鈴木浩氏
NEC 第二官公ソリューション事業部 マネージャー 穂積幸雄氏
顔認証では、2010年に米国政府主催の精度評価テストで首位を獲得している。顔認証技術は、国家インフラやエリアセキュリティ、流通サービス、エンタープライズ、組込系機器といった分野に適用できるが、今回はエンタープライズのPCセキュリティの分野に提供するものとなる。
同社第二官公ソリューション事業部のマネージャーである穂積幸雄氏は、「認証方法には暗証番号やパスワードといった“知識認証”、鍵やカード、証明書といった“物理認証”、指や手のひら、静脈、顔などの“生体認証”があり、顔認証はなりすましが困難であることに加えて、忘れない、なくさないものであることから有効性が高い」と説明。他の生体認証に比べて利便性、精度がともに高く、バランスに優れていることを強調した。
NeoFace Monitorは、多点部位検出法、多元特徴量抽出法、摂動空間法を採用することで、顔の向きや表情、照明、経年などによる変化があっても個人を判別できるエンジン「NeoFace」を搭載する。NeoFaceは、前述の精度評価テストで0.3%のエラー率、160万件のデータベースからの検索が0.4秒と圧倒的な結果を示し首位となったという。実運用データ、姿勢変動、経年変化などの評価でも首位を獲得したとしている。
NeoFace Monitorは、PCの起動からシャットダウンまでのライフサイクルで、常に顔を認識してなりすましを防止する。カメラに顔を向けるだけでログインでき、常に顔を認識することから、離席時など判別が不能になるとPC画面がロックされる。
この間、登録されていない人がカメラに顔を向けてもロックは解除されない。ログオン時に背後から画面を他人が覗き込んだ場合にも画面ロックが可能となる。
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実際の顔認識画面
Active Directoryと連携できるため、大規模かつ柔軟な統合運用管理が可能という。1台のPCを複数のスタッフが使用する場合にも、ユーザーごとにログを残すことが可能だ。
カメラは汎用のものを利用できるので、PCに搭載されるカメラやウェブカメラを活用でき、コストの面でも有効性が高いとした。認証用の顔特徴データをサーバからクライアントにダウンロードし、一時的に保存することで、外出時やネットワーク障害時などでも顔認証を利用できる。
Windows 7/8/8.1に対応するクライアントソフトウェアの税別価格はPC端末1台あたり1万円から、一元管理が可能なWindows Server 2008 R2/2012 R2に対応するサーバソフトウェアは30万円となる。クライアントソフトウェアはWindows 8搭載タブレットにも対応する。
同社は、同製品を国内と北米アジア地域を中心としたグローバル市場に展開し、今後3年間で400社への導入を目指すとしている。今後はAndroid対応のクライアントを開発する可能性もあるとした。