本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本IBMの下野雅承 取締役副社長執行役員と、日本HPの山口太 HPネットワーク事業統括本部長の発言を紹介する。
「今回の取り組みでセキュリティ人材不足にも対応していきたい」 (日本IBM 下野雅承 取締役副社長執行役員)

日本IBM 取締役副社長執行役員 下野雅承氏
日本IBMは先ごろ、IBMが世界各地に展開しているセキュリティ監視センター(Security Operation Center:SOC)の1つ「Tokyo SOC」を拡充し、セキュリティ分野のビジネスを強化すると発表した。
同社の取締役副社長執行役員でTokyo SOCを含めたグローバル・テクノロジー・サービス事業を統括する下野氏の冒頭の発言は、その発表会見で、今回の拡充策としてセキュリティ人材の育成にも取り組むことを強調したものである。
IBMが世界10カ所で運営しているSOCの1つであるTokyo SOCは、同社が2006年に買収したインターネットセキュリティシステムズによって2001年に開設されたものだ。
同施設では、顧客企業のネットワークに設置されたセキュリティ機器の運用・監視やセキュリティインシデントの分析調査などを24時間体制で取り組んでいる。SOCは現在、世界で約4000社が利用し、約2万台の機器が監視対象になっているという。
日本IBMが今回拡充を図ったTokyo SOCは、従来から提供している「セキュリティ運用監視サービス」の日本の拠点としての機能に加え、セキュリティ製品の技術検証やデモなどをビジネスパートナーと実施する「セキュリティビジネスセンター」の機能も整備した。
さらに、国内のセキュリティ人材の育成を図るため、グローバル規模で培ってきた経験や知見を生かして、セキュリティ人材育成の研修を開発し提供する「セキュリティ人材開発センター」としての機能も備えた。研修の開発においては、情報セキュリティ大学院大学と協業し、産学連携を図った格好だ。
Tokyo SOCの拡充におけるさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではセキュリティ人材開発センターの機能に注目したい。
この機能では具体的に、セキュリティスキル育成研修の第1弾としてCSIRT(Computer Security Incident Responce Team)研修を発表。CSIRT研修はセキュリティ事故発生時に、IBMのエマージェンシーレスポンス支援サービスなどで提供する外部支援を最大限に活用し、迅速かつ確実な初動対応や、被害を最小限に抑えられるような企業内で必要とされるセキュリティスキルの獲得を目的としている。