日本マイクロソフトとSAPジャパンは6月23日、クラウド分野での協業を日本でも展開する。SAPの統合基幹業務システム(ERP)をMicrosoftのPaaS「Microsoft Azure」で稼働することを正式にサポートする。
これにより、SAPのERPを利用するユーザーは、システム構築の初期コストを抑えられるようになり、Azureの従量課金モデルを活用することで、自前でインフラを構築するよりも総所有コスト(TCO)も約4割削減できるとしている。
協業後は、両社のパートナー企業である国内のシステムインテグレーター9社、具体的にはアビームコンサルティング、SCSK、NTTデータグローバルソリューションズ、電通国際情報サービス、東洋ビジネスエンジニアリング、NEC、日立製作所、富士通、リアルテックジャパンからサービスメニューを提供する。
日本マイクロソフトとSAPジャパンの両社は、東日本と西日本に開設したAzureのデータセンター上にSAPのERPを移行しやすくするように、技術検証、各種ドキュメント整備、トレーニング、マーケティング活動を共同で実施する。
具体的に、Azureで正式サポートを開始した製品は「SAP Business Suite」「SAP Business All-In-Oneソリューション」「SAP Mobile Platform」「SAP Adaptive Server Enterprise」「Azure対応 SAP HANAプラットフォームの開発者向けエディション」。
ユーザー企業や開発者は「SAP Cloud Appliance Libraryツール」を使用することで、構成済みの多数のソフトウェアをAzureに直接展開し、数分以内でプロビジョニングする環境を構築できるようになる。
日本マイクロソフトは、大企業の顧客8社を対象に「早期検証プログラム」を実施。その1社である三井物産は東日本と西日本の両データセンターを活用した拠点間データ連携、ハイブリッド環境における運用利便性の確認に加え、パフォーマンスも検証した。
三井物産のIT推進部長、前川一郎氏は「三井物産は、日本マイクロソフトをIT投資上の重要なパートナーと位置付けており、Microsoftのプラットフォームでプライベートクラウド基盤を構築し、仮想サーバを日々運用している」と話す。同社は、2000年からSAPを基幹システムとして利用しており、両社の技術が融合することで、システムプラットフォームの新たな選択肢がもたらされるとして期待を表明している。