EMCジャパンは7月2日、米EMCが実施した調査「EMC Privacy Index」の結果を発表した。EMC Privacy Indexは、世界15の国と地域、1万5000人の消費者を対象に実施した調査をもとに、オンラインプライバシーに対する世界的な消費者意識と動向をまとめたレポートだ。
消費者は、テクノロジがもたらす利点をプライバシーを犠牲にすることなく享受したいと考えているものの、地域やオンライン上の活動内容によって、消費者のプライバシーに対する意識が異なることが明らかになった。
EMC Privacy Indexでは「3つのパラドックス(矛盾)」が指摘されている。このパラドックスには、消費者、企業、テクノロジプロバイダーの立場が色濃く反映されているという。また、国家や地域、利用者タイプによるプライバシー意識の違いも明らかになった。
パラドックス1:「すべてが欲しい」
消費者はデジタル技術のあらゆる利便性とメリットを求める一方で、個人のプライバシーが少しでも損なわれることを避けたいと考えている。デジタル技術による「情報や知識へのアクセス性の向上」に価値を置いている消費者は91%であるのに対し、インターネットのメリットと引き換えにプライバシーを犠牲にしてもいいと考えている消費者は27%(日本は33%)にとどまっている。
また「テロリストや犯罪活動からの保護」に価値を置いている消費者は85%に上る一方、そのためにプライバシーを犠牲にしてもいいと考えている消費者は54%にとどまっている。
パラドックス2:「何もしない」
プライバシーのリスクは多くの消費者に直接影響を及ぼすものだが、大部分の人はプライバシーを保護するための対策を自分では行わず、保護責任を行政と企業に求めている。
具体的には、62%がパスワードを定期的に変更していない(日本は77%で調査対象国/地域中最下位)、33%がソーシャルネットワークのプライバシー設定をカスタマイズしていない(日本は50%で最下位)、39%がモバイルデバイスをパスワードで保護していない(日本は64%で最下位)。今後考えられるプライバシーに関するリスクとして上位に挙げられたのは「企業利益のための個人データ利用、取引、売買」(51%)と「行政の対応不足」(31%)などで、「一般市民による個人的な監視と関心不足」(11%)は非常に低い結果となっている。