冒頭の発言は、このコメントのエッセンスである。
オープンソースベースのソフトウェアでSDNの機能を代替できるのならば、まさしく画期的な技術のブレークスルーである。河合氏は、「この技術をきちんと信用してもらえるように、わかりやすい運用事例をどんどんお見せできるようにしたい」と意欲満々だ。果たして市場に確かな一石を投じることができるか、注目しておきたい。
「スポーツの力を借りてビジネスの発想力を高めていきたい」 (SAPジャパン 馬場渉 バイスプレジデント兼チーフ・イノベーション・オフィサー)

SAPジャパン バイスプレジデント兼チーフ・イノベーション・オフィサー 馬場渉氏
SAPジャパンが先ごろ、日本のスポーツ業界においてビッグデータを活用する事業に本格的に取り組むことを発表した。馬場氏の冒頭の発言は、その発表会見で、この事業に力を入れることの狙いについて語ったものである。
同社はその具体的な取り組みとして、スポーツデータの解析や配信を事業とするデータスタジアムが開発を進めるサッカーおよび野球向けの次世代サービスに「SAP Cloud powered by SAP HANA」を導入し、イノベーションパートナーとして研究開発を支援していくという。
データスタジアムはサッカーや野球などのスポーツに向けたデータ分析ソリューションを提供する企業で、センサや映像解析などの技術を活用した次世代サービスの開発に取り組んでいる。サッカー向けでは、リアルタイムにトラッキングした選手やボールの動きに同社独自の指標を掛け合わせたリアルタイムプレーの予測が可能な仕組みを構築中。野球向けでは、進行中の試合状況と選手の過去のプレーに関するデータを組み合わせて得失点確率を算出するなどリアルタイムな戦略サポートの実現を目指している。
こうした次世代サービスでは、過去の膨大なプレーデータと現在進行中のプレーデータを組み合わせながらリアルタイムに予測、分析する。データスタジアムは、同社が目指すサービスをスピーディーかつシンプルに具現化できる点を評価し、SAP HANAの採用に踏み切ったという。
独SAPは2013年来、グローバル市場でスポーツ&エンターテインメント業界向けの製品やサービスを展開しており、すでに大リーグ機構(MLB)や全米バスケットボール連盟(NBA)などのスポーツ統括組織をはじめとして世界中のメジャースポーツで数多くの導入実績を上げている。
馬場氏は、SAPジャパンが日本市場でこうした取り組みを始めた理由について、「日本のスポーツが世界で一番になることに貢献する」「ビジネスで生まれたイノベーションをスポーツに、スポーツで生まれたシンプリフィケーション(シンプル化の力)をビジネスに」「スポーツ自身のイノベーションと、スポーツによるビジネスのイノベーション」の3つを挙げた。
そして、こう強調した。
「スポーツの力を借りてビジネスの発想力を高めていきたい。そこから生まれた発想がイノベーションにつながる。私たちはさらに、そうしたイノベーションの手法を仕組み化していきたいと考えている」
バイスプレジデントと兼務してこの4月にチーフ・イノベーション・オフィサーにも就任した馬場氏。社内外のイノベーションをリードするとともに、まさしくイノベーションの手法を仕組み化する役目を担う。その手腕が注目されるところだ。