こうした事例の場合、筆者はこのように「事件の発生要因の排除」という視点でセキュリティ対策を考えることこそ重要ではないかと感じています。
テクノロジは、あくまで人の活動を便利にしたり、楽にしたりする「ツール」であり、それ以上でも以下でもないのです。テクノロジが主役なのではなく、あくまで主役は人なのですから、自動化が可能な部分はテクノロジを利用し、そうでない部分は口や手を動かして実施するものであって、そこを判断するのはいつの時代であっても「人の仕事」なのだと思います。
現在、デジタルデータに対する「鍵」は、テクノロジの進歩によってさまざまな種類や強度のものが作り出されています。しかし、どこに、どんな鍵をかけるべきか。今もこれから先の未来においても、それは人が考えることなのではないでしょうか。
ちょっと哲学的な言い回しになってしまいましたが、セキュリティ対策(予防)は、テクノロジに「頼る」のではなく「うまく利用」して自動と手動を上手に組み合わせることで、より効果が高まると考えています。
- 中山貴禎
- トヨタや大手広告代理店など、さまざまな業界を渡り歩き、2010年1月よりネットエージェント取締役。機密情報外部流出対策製品のPM兼務。クラウド関連特許取得、米SANSにてトレーニング受講等、実務においても精力的に活動。