日本ヒューレット・パッカード(HP)は8月7日、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)システムの新製品「HP Apollo 6000 System」「HP Apollo 8000 System」の販売を開始した。モジュール型をベースに配電や冷却の技術を組み合わせている。総所有コスト(TCO)を低減しつつ、設置スペースを削減できるという。標準的なラックサーバに対し最大4倍の性能を利用できるとしている。
高さ5UのシャーシのApollo 6000は、1ラックあたり最大160サーバを格納できる。空冷機構を搭載し、1.5Uのパワーサプライを外付けにしている。「HP Advanced Power Manager」がオプションで提供され、ラック単位の電力を単一画面から制御できる。
Apollo 6000(日本HP提供)
柔軟なラックデザインが特徴で各種のアダプタや冗長電源を選択できるという。デザインオートメーションや金融サービスのリスク分析など、各種のワークロードに応じてシステムを最適化できると説明。競合他社のブレードサーバシステムと比較してエネルギー消費量を最大46%削減し、TCOを抑えながら省スペースで高いパフォーマンスと効率性を実現できるとしている。
1ラックで144のサーバを格納できるApollo 8000では水冷方式を採用している。水冷は、冷却媒体としての効率は空気の1000倍だが、これまでHPC分野での水冷方式は技術的な難易度などのダメージリスクから導入が進んでこなかった。今回、リスクを伴わずに水冷を実現する技術で課題を克服したという。完全水冷式のHPCシステムはApollo 8000が世界初と説明する。
Apollo 8000では、空冷式のデザインに比べて1ラックあたり4倍のテラフロップを利用できるという。高いエネルギー効率でデータセンターからの二酸化炭素排出量を年間最大3800トン削減できるとしている。
システムの冷却で発生した温水を施設の熱源として再利用できるという。米National Renewable Energy Labs(NREL)は、「このようにユニークな設計のスーパーコンピュータを利用して、廃熱を隣接するオフィスやラボスペースの熱源にすることで、世界で最も環境に優しいデータセンターを実現している」とコメントしている。
税別希望小売価格は、Apollo 6000が最小構成×20ノードで484万4000円、Apollo 8000が推奨構成×144ノード+水冷ラック一式で2億3289万円となっている。別途、配管工事やファシリティ側の対応が必要になる。
Apollo 8000(日本HP提供)