アップルの社内教育プログラム「Apple University」--シンプルさ追求の題材はピカソの絵画

Charlie Osborne (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2014-08-12 13:10

UPDATE Appleにおいて、大学での講義形式にのっとった社内研修プログラムが実施されていることは秘密ではなかったものの、その詳細が明らかにされることは今までなかった。今までは、だ。

 The New York Times(NYT)により、受講者がさまざまな講義を1年間にわたって受講できる「Apple University」の一部の側面が報道されたことで、教育面におけるAppleのプラクティスが明らかになった。

 大学の講義形式に従ったこのプログラムは当初、同社の共同創業者である故Steve Jobs氏と、米国の社会学者であり、Appleの幹部を務めたこともあるJoel Podolny氏によって生み出された。なおPodolny氏は2月、Apple Universityの学長としての仕事に専念するために、Appleの幹部職を辞している。

 NYTは、講義に参加した3人の従業員に匿名を条件に話を聞いた。推奨プログラムに参加するよう選ばれた受講者らには、芸術性や簡潔さ、機能、美しさというコンセプトがたたき込まれるという。

 その一例を挙げると、「iPad」や「iPhone」のメーカーである同社は、ピカソの「The Bull」(牡牛)と名付けられた11枚のリトグラフと、同社の製品開発手法を講義内で対応付けて説明しているという。これら一連のリトグラフを見てみると、ピカソは不要な詳細を徐々に取り除いていき、最後にはエレガントかつシンプルな表現にたどりついているが、その最後の1枚でも牡牛であることははっきりと分かる。同情報筋によると、このような設計手法が重要なのだという。つまり、ピカソが本質的な要素にのみ焦点を当てたように、Appleは機能や美しさが「エレガントな簡潔さ」によってもたらされると確信しているのだ。

 講義はカリフォルニア州クパチーノのAppleキャンパス内にある「City Center」と呼ばれる建物で行われる。教室は「十分な採光」が確保され、階段状に座席が設けられた台形型の室内から、高級感あふれるトイレットペーパーに至るまで、細部への気配りが感じられるという。また、時には米国外での講義も実施されるという。

 講義への参加は必須ではないが、受講登録が推奨されている。受講者は社内ウェブサイトで参加を表明するようになっており、参加できる講義は地位や経歴に応じて決まってくる。その広報には以下のように記されている。

 「多くの企業とは異なり、Appleはトレーニングを社内で、1年を通じて実施している。講師や著作者、編集者を含む常勤の教職員が講義概要の作成や講義の実施にあたる。教職員のなかには、イェール大学やハーバード大学、カリフォルニア大学バークレー校、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)といった大学の出身者もおり、Appleで勤務している間も元の大学での地位を維持している人材もいる」

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