EMCジャパンが“第3のプラットフォーム”対応としてストレージの強化を続けている。
ハイエンドストレージの新製品として「EMC VMAX3」、スケールアウト型NAS「EMC Isilon」の新版、オールフラッシュアレイ「EMC XtreamIO」新版の3つをラインアップに加えた。既存アプリケーション基盤に対する投資を削減し、新しいアプリケーション開発を推進するための環境構築を支援するという。
EMCでは、ソーシャル、クラウド、モバイル、ビッグデータといったトレンドが作り出すIT環境を“第3のプラットフォーム”と呼び、従来の“第2のプラットフォーム”とは異なる要件が求められるとしている。
“第2のプラットフォーム”のアプリケーションでは、RDBMSによる高度なデータ分析など、高度なデータサービスを高いパフォーマンスのもとで提供する必要があった。だが、“第3のプラットフォーム”のアプリケーションでは、「Apache Hadoop」を使った並列分散処理など、シンプルなデータサービスを大きなキャパシティのもとで提供する必要がある。
EMCジャパン 代表取締役社長 山野修氏
7月31日に開かれた会見でEMCジャパン代表取締役社長の山野修氏は、「各プラットフォームのワークロードに応じた製品が求められているが、高度なデータサービスとシンプルなデータサービスという相反する課題に対応しなければならず、ギャップがあるのが現状だ。EMCはこのギャップを橋渡ししようとしている」と製品投入の背景を説明。今回の新製品群は、単なる機能拡張ではなく、新しいコンセプトや新しいアプローチを取り入れたバージョンアップであることを強調した。
ハイパーバイザをストレージOSに統合
ハイエンドストレージの新シリーズとなるVMAX3は、新しいコンセプト「エンタープライズ データサービスプラットフォーム」を実現する新製品としている。
米EMC エンタープライズ&ミッドレンジシステム部門プレジデントのBrian Gallagher氏は、エンタープライズデータサービスプラットフォームとは「パブリッククラウドとプライベートクラウド双方の特徴を取り入れたデータサービス用のプラットフォームで、データセンターに俊敏性、信頼性、管理性をもたらすもの」と表現している。
具体的には、「Dynamic Virtual Matrix」という新アーキテクチャと「HYPERMAX OS」という新しいOSを搭載し、サービスレベルに応じた処理能力の割り当て、スケールアウト、瞬時のプロビジョニングができるようにした。
Dynamic Virtual Matrixでは、最大384CPUコアでプールを作り、混合ワークロードに対してオンデマンドでそれらを割り当てられる。HYPERMAX OSは、ハイパーバイザを統合したストレージOSで、Linuxバイナリなどを直接ストレージの中で稼働させ、リアルタイムで無停止なデータサービスを提供する。
EMC エンタープライズ&ミッドレンジシステム部門プレジデント Brian Gallagher氏
「データサービスは、ファイル管理やメール管理、アプリ開発、仮想マシン、意思決定支援、トランザクション処理といったアプリケーション管理ごとに求められるサービスレベルが異なる。われわれは、こうしたサービスレベルの目的別に、アプリケーション管理をポリシーベースで自動化できるようにした。ユーザーは、マイクロ秒単位のパフォーマンスが求められるアプリケーションなら“ダイヤモンドクラス”を、ミリ秒単なら“ゴールドクラス”を、それ以下なら“シルバークラス”をといったように、サービスレベルのターゲットを選択するだけでよい」(Gallagher氏)
サービスレベルのターゲットは新機能の「VMAX Advanced FAST Suite」を通じて行う。シングルクリックによるプロビジョニングが可能という。機能的には、バックアップやパブリッククラウドアクセスが強化された。
バックアップでは「EMC ProtectPoint」を使ってバックアップサーバなしに、プライマリのVMAXから「EMC Data Domain」への直接バックアップが可能になった。リストアもData Domainから即時に可能という。パブリッククラウドアクセスでは、7月8日に買収したTwinStrataの技術を使って、アクセス頻度の低いデータをパブリッククラウドに移行させることができる。
税別価格は1380万円から。7~9月中に提供を開始する。