米EMCがラスベガスで開催した「EMC World 2014」において、Software-Defined Storage実現のためのプラットフォーム「EMC ViPR」の最新版を発表した。
また、同製品をベースとしたアプライアンス「EMC Elastic Cloud Storage Appliance」も同時に発表するなど、ViPRを中心にSoftware-Defined Storageの世界を拡張しようとしているようだ。
EMCが推進するこのSoftware-Defined Storageはどのようなものなのか。またそれはすでに手に届くものになっているのか。米EMC アドバンストストレージ部門 バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャーのBoaz Palgi氏に聞いた。
米EMC アドバンストストレージ部門 バイスプレジデント 兼 ジェネラルマネージャーのBoaz Palgi氏
脱ハードウェアロックイン
--Software-Defined Storageの中で、ストレージ仮想化ソフトウェアである「EMC ViPR」の果たす役割が大きいとのことですが、それを踏まえてEMCのSoftware-Defined Storage戦略について教えてください。
EMCのSoftware-Defined Storage戦略は、これまでのようなハードウェアに対するロックインから顧客を解放するためのものです。これを実現するためのプラットフォームがViPRです。ストレージ管理ソフトの「ViPR Controller」では、EMCのストレージはもちろん他社のストレージも管理できます。
最新版の2.0では日立製作所のストレージにもネイティブで対応しますし、OpenStackによってIBMやHewlett-Packardの製品もサポートできるようになりました。また、サーバとストレージ間のインターフェース「ViPR Data Services」では、これまで対応していたオブジェクトストレージやHDFSストレージのほか、最新版でブロックストレージもサポートするようになりました。
こうした製品により、ユーザーは自ら選んだコモディティハードウェア上でアプリケーションやストレージを利用できるようになるのです。EMCがSoftware-Defined Storageを推進するのは、ユーザーに生産性と管理の容易さ、より良いパフォーマンス、コスト削減、そして選択肢を与えるためです。
ViPR Controllerでは、新たに「EMC ScaleIO」や「EMC XtremIO」、VCEの「Vblock」、日立製作所の「Hitachi Unified Storage」および「Hitachi Virtual Storage Platform」がサポートされる。
「ソフトウェア定義」という潮流の背景
--業界全体の動きとして、いまネットワークやストレージ、データセンター全体など、すべてがソフトウェアで定義されようとしています。こうした動きの背景はどこにあるのでしょうか。
20年前、データセンターはサーバ、ネットワーク、ストレージという3レイヤのアーキテクチャになりました。なぜ3つのレイヤが必要だったのか、それはサーバにアプリケーションとストレージを運用するための十分なリソースがなかったためです。そこでベンダーは、特定のアプリケーションを走らせるために専用サーバを用意し、そこにディスクを積んで運用していたのです。
しかし、これは最適化された手法ではありません。サーバ、ネットワーク、ストレージそれぞれの管理者が必要ですからね。そこで出てきたのが、すべてのレイヤをソフトウェアで定義するという考え方です。今はこれを実現できるようなリソースが十分あります。CPUやメモリ、ネットワークの帯域幅、ハードウェアの容量など、すべて20年前とは比べものにならないほど向上しています。