米EMCは5月5日、ラスベガスにて年次イベント「EMC World 2014」を開幕した。初日の基調講演で米EMC会長兼最高経営責任者のJoe Tucci氏は、フラッシュストレージを開発する企業、DSSDの買収を発表。金額は明らかにしておらず、買収は2014年第2四半期に完了する予定だという。
「EMCでは、売り上げの12%を研究開発に費やし、同10%を技術買収の費用に充てるという二重のイノベーション戦略を進めている」とTucci氏は述べ、この戦略の一部がDSSDの買収だとした。
DSSDは、4年前に創業したにも関わらず、ウェブサイト上でも全く情報を公開することなく極秘に活動していた企業。DSSDの戦略アドバイザーには、元Sun Microsystems(現Oracle)の共同創業者であるAndy Bechtolsheim氏が名を連ねている。
基調講演の壇上でTucci氏と会話するDSSDの戦略アドバイザーAndy Bechtolsheim氏
DSSDの創業者で最高経営責任者を務めるのは、元Sun MicrosystemsのチーフストレージエンジニアだったBill Moore氏だ。Moore氏は基調講演後のプレス向けセッションにて、噂が広まりやすいシリコンバレーで極秘に活動を続けられた理由について「われわれの取り組みを理解できる優秀な人材を見つけた際にはDSSDに入社してもらい、誰にも話すなと伝えていた」と明かした。
EMCはDSSDに以前から投資しており、開発パートナーでもあったという。DSSDはEMC傘下で独立した事業部門として活動を続け、Moore氏が同部門の責任者となる。
DSSDは未だ製品は発表しておらず、製品が登場するのは2015年となる予定。基調講演に登壇したBechtolsheim氏によると、「インメモリデータベースやリアルタイム分析などのアプリケーションでは非常に高いI/Oパフォーマンスが求められるが、DSSDはこれまでとは全く異なるタイプのストレージシステムを開発しており、非常に高いI/Oパフォーマンスと高帯域、低レイテンシーを実現する」と説明した。