小松製作所(コマツ)は世界各地の拠点に点在する部品在庫の最適化を目指し、現場の担当者が大量のデータから個々の業務課題を解析、発見して業務上のアクションにつなげるため、新たにインメモリBI(Business Intelligence)プラットフォームを情報分析プラットフォームに活用している。ソリューションを提供したクリックテック・ジャパンが4月30日に発表した。
採用されたのは、米国QlikTechが開発する高速インメモリBIプラットフォーム「QlikView」。企業が蓄積する膨大なデータを分析し、事業に生かすことで生産性を向上できるとする。
コマツは、これまでも世界に広がる33万台以上の建機の稼働や販売状況を集中管理する機械稼働管理システム「KOMTRAX」など、ビジネスモデル変革につながる先進的IT活用で知られている。今回の情報分析プラットフォームは、建機の安定稼働に欠かせない補給部品の供給や販売において、グローバル拠点に点在する部品在庫の最適化が求められていたことに対応するもの。
同社では、部品マスタでも200万件にも及ぶ大量のデータから、現場の担当者が自由自在にハンドリングし、個々の業務課題を解析、発見するための仕組みを模索していたという。多くの場合、BIツールを導入すると集計化されたダッシュボードのデータから課題を読み解くことになるが、コマツではさまざまな明細データを、個別のデータウェアハウスなどに移さずに直接解析することで発見していこうと考え、QlikViewの採用を決定したという。QlikViewの利用は2012年8月から開始しており、その主な効果は以下の通り。
- 大量のデータを取り込めるデータロードの簡便性が高いため、さまざまなデータソースからデータをQlikViewに取り込み、データ相互の関連性を見出すことができる
- 現地法人とコマツの本社間の建機補給部品オーダーにおいて、従来のツールでは大量データのマッチングができなかったが、QlikViewでは明細データまでドリルダウンでき、個々の部品の品番まですり合わせて対象部品を割り出せるため、的確な対応策を指示できる
- 現地法人の建機補給部品の在庫データを入出庫日付やストックポイントなどさまざまな視点からQlikViewで簡単に分析できるため、グローバル拠点間での再配置など、部品在庫の最適化について有効なプランを組み立てられる
コマツでは、QlikViewの利用を開始して以来、建機補給部品ビジネスにおける在庫削減のロスカット改革に成功しているとのこと。また、KOMTRAXの稼働状況の可視化と分析にも活用しており、製造現場へのデータに基づいたフィードバックを実施し、生産計画の見込みにも役立てているという。